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大菩薩、 ケモノ道で撤退 [山歩き]

3月6日 コース取りのミスから ケモノ道へ。 結局 撤退に終わった。

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この週末の天気予報は金曜日だけ晴れ、 午後からは曇り。
遠出してもスッキリした展望も期待はできないだろうから、一般道でいける範囲の山とした。

奥多摩側から大菩薩峠を目指す。
丹波山村か小菅村かどちらかのコースになるが、 丹波山村からはあまりにも遠い。
小菅村・白糸の滝の先にある登山口から登ることにした。

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小菅村からの林道大菩薩峠線508号は雪も凍結もない。 大菩薩峠登山口の手前のスペースに駐車。
塩山側からは2回登っているが、小菅からは静かな歩きが出来そうだ。

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最初の大菩薩峠登山口からの入山は見送り 30分ほどの林道歩きで”ウォーミングアップ”をするつもりで日向沢登山口に向かった。
【その1: 最初の登山口の入口は明瞭で、予定通り 直ぐ入らなかったことが結果的には失敗であった。】

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林道には雪が残っているが、 伐採車両のタイヤ跡だけで 登山者の歩いた跡は見当らない。

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途中、『クマ出没注意』の警告掲示が数ヶ所にあり。 
ヤバイ!  いつ冬眠から醒めるのだろう。
小菅村や丹波山村からの入山はマイナリティー、 ましてや平日(金曜日)。

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日向沢登山口に少し入ったが、まったく踏み跡はなく 細いトラバースの道は落ち葉でよく確認できない。
立ち止って、地図をながめる。 登山道の表示はあるが、実際には不明瞭でなんとなく、 気が進まない。
といって、いまさら最初の登山口まで引き返す気にもならない。
【その2: 帰宅後、国土地理院の地図を見ましたが、登山道の表示はなかった。 昭文社の山地図には実線表記してあるが。。 冬は往来がほとんどないんでバリ道同然。 この事態を事前に把握できなかったことは想定外。】

大菩薩峠に向かう「牛ノ寝通り」(尾根)から雄滝まで*バリーエーションルートがあるとの記事を思い出した。
*一般登山道とは異なり地図に乗っていないルートを指し、通称”バリ”とか”バリルート”と呼ばれます。
ということは、雄滝から登れるはず。
林道に戻り、そのまま雄滝上に向かった。
「牛ノ寝通り」、牛が寝たくなるほどの のどかな尾根なんだろうか? (笑)

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林道は行き止まりになって、 そこから伐採運搬用のモノレール軌道のみ。
林道の先には通行禁止の標識。 下をのぞいてみると沢に橋があった。
急坂だが、慎重に足場を確保しながら沢まで下った。 
(こんな急坂を下らなくとも、林道終点数十メートル前に雄滝に下る道があったことが、下山時にわかりました。)

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地図にはまったく表示がないが、これがバリ道の入口のようである。 念のため、GPSのバッテリー残量と機能動作確認をして この道を進むことにした。  
思考しながら ウロウロしていたら 出発から1時間も費やしてしまった、 既に9:20前である。

橋を渡り沢の左側を登っていきます。 直ぐ雪道になり、沢はワサビ畑になっているようです。

木橋を数か所渡っていきます。(トップの写真)

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突き当りでワサビ畑用の道は終り。 そこから山側へ折り返して登ります。  
雪で道は分かりにくい。

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人の踏み跡はまったくなく、多くのケモノの足跡のみ。 大きな足跡もあります。
立ち止まって、まじまじとながめて見極めます。
『熊出没注意』の警告掲示を思い起こしゾッとしましたが、どうやら熊ではなさそうです。
カモシカや猪のものと思われます。 念のためクマ鈴の鳴りがよくなるように位置を修正。

山の北斜面なんで 凍結しているところもあります。 
道も細く、踏まれていませんので不明瞭。 つま先でキックして脚の置き場をかくにん確保しながら登ります。

急登で雪の斜面。 このままでは進めないので、簡易アイゼンを付ける。 ジグザグに登らざるを得ません。
 
ルートファインディングは、 結果的にケモノの足跡を辿ることになる。
山では人もケモノも辿るルートは同じ、 登りやすいルートを見つけます。 (笑)
ケモノの足跡はジグザグにトラバースして 尾根方向に向かっています。

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登ってきた沢を見下ろします。 まだまだケモノのトレースがついた急登が続きます。

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とにかく絶対に踏み外さないよう、一歩一歩登る。 ピッケルがあれば安心ですが、こんなことは予期していませんので車に置いてきました。
シカや猪は四つ足なので容易く3点支持で登れるだろう。  私はストックを使って三点支持で必死に登る。

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ようやく牛の寝通りに向かう支尾根に辿りついたようだ。 木橋からもう1時間もかかってしまった。
雪がなければ30分くらいで登れると思います。
尾根の末端からはやや緩斜面になり一息つけます。 念のため下りのポイントを確認しておく。

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細い尾根ではないので、外さないようできるだけセンターを登ります。 
ピンクテープをひとつ見つけました。 ここがバリの支尾根であることは間違いなさそうで一安心。

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標高を上げるにつれ、小雪がパラパラ。 大菩薩方面は霞んでいます。   

10:45 標高1,300M地点。  牛ノ寝通り合流点までは標高100M差もない地点でもうすぐのはずだが。。
予想では この地点から大菩薩峠迄は2:45くらいのコースタイム。
どう計算しても峠到着は13:30~14:00。 下山は14:10に峠から下るとすると 登山口には16時過ぎ。
これ以上遅い下山はリスクが生ずる。
予定通り躊躇せず 最初の登山口から登っていれば、今ごろは峠近くのはずなんだが。。。 
加えて 午後からは天気は下り坂に向かう予報だが、思ったより早く崩れそうだ。
私にとって、バリ道を登るときはまわりが見通せることが絶対条件だ。

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下す判断は云うまでもなく、 ここで撤退。  

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下りは自分の刻んだトレースを辿るんで 楽々です。 25分ほどで雄滝の木橋に着き、林道を戻りました。

省みれば、最初の登山口をパスしたこと、 第二の登山口で突入しきれなかったこと、そしてバリルートが脳裏に浮かんでしまったこと。 もうその時点で 途中撤退という定めになってしまったのだろう。 
優柔不断な遊び心は時には危険な罠に誘い込まれる。

こんなシナリオは山だけでない。 例えは異なるが、人生・仕事で似たようなシナリオになってしまうこともある。 世の中でもありがちなことです。 
気がついたら、『こんなことになってしまった。。。』。。。。。     でも潔く撤退すればいいんです。
山での体験・教訓は人生にもオーバーラップすることがよくあり、いろいろ教えられます。
また、逆に人生体験が山登りにも生きる場面がある。 こんなところも山登りの面白さでもあるでしょう。

牛ノ寝通りへのルート、 様子がある程度把握できたのは収穫。 やはり歩いてみなければわからない。
そして 地図を眺めていたら、この山域は意外におもしろいコースどりが出来そうであることに気がついた。 
途中撤退に終わったが 久し振りのバリ道。  
緊張と不安が交錯するが、 なぜか冒険心とチャレンジ魂が揺さぶられた。
 
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帰路白糸の滝に寄る。  高さ36M。

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水量は少ないが 深山幽谷の断崖から滑り落ちる水が 一条の白い糸の様なので白糸の滝と命名されたようです。

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昔 村の若者が滝の淵に石を投げ込んだ。 数日後、淵に戻ってみたら、その石が淵の外に並べられていた。 竜が住んでいて 竜の仕業と信じられるようになった。 ・・・との伝説があるそうです。

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時間があるんで小菅の湯へ。 
ところがこの通り、まったくついてない。(冬季の毎週金曜日は定休日)

車で20分ほどですが 丹波山温泉 "のめこい湯" に浸かって帰宅しました。

大菩薩峠 雄滝~牛ノ寝通りルート。 少し様子が分かったので、 いづれ再チャレンジしてみたいと思います。
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コメント 24

kuwachan

確かに仕事でこんな日もあります(^^;;
不思議と重なるんです。ついていないことが(苦笑)
冬眠から目醒めたクマさんに遭遇しなくてよかったですね^_−☆
by kuwachan (2015-03-12 18:56) 

テリー

こういうこともあるんですね。
熊さんに会わなくて幸いでした。
by テリー (2015-03-12 20:55) 

achami

ドキドキしながら、読み進めました。
あ〜〜記事になっていて良かった^^


by achami (2015-03-12 21:21) 

takenoko

昔鍋割、塔ノ岳間の下りで迷ったことがあります。後ろからどんどん同じような人が来たので、助かりました。それ以来、雪のある山は登っていません。
by takenoko (2015-03-13 05:59) 

mimimomo

おはようございます^^
かなりの急登ですね~ このお山は何度か行っています。通過地点として。
車で上の方まで上がれるものだから^^
Jetstreamさんみたいに下から本格的に登る方もいらっしゃるのね~その方が面白いですよね。
by mimimomo (2015-03-13 06:48) 

斗夢

先日、TVで大菩薩峠の登山を見ました。再放送で、秋だったと思いますが・・・。
素晴らしい眺めでした、富士山が見えて南アルプスが見えて。
by 斗夢 (2015-03-13 08:12) 

g_g

読んでいてどきどきしてしまいました、初めての歩く里山で1つ尾根を間違がって、想像していた場所と違ったり、また迷ったこともあります。
糸滝各地にあるようですが、素敵ないい滝ですね。
by g_g (2015-03-13 09:58) 

OJJ

登山を冒険から周到な緻密な計画に基ずく工学へスポーツへ昇華された<天空の日帰り魔神>さまにしてもこのような事態が発生するのですね・・ビックリするやら正に驚愕!某も1300m位の秋の低山で木こりの踏み跡に誘い込まれて、ガスに巻かれ、木の枝を折って目印にしたただ一回のリタイヤを思い出しました。迷えば引き返せ・・ですね~ 残りわずかな百名山目指してやや奔ってますか?
人生はお一人様一回限り・・と友人が呉れた絵手紙に有りました。
by OJJ (2015-03-13 11:17) 

tochimochi

雪をかぶると途端に道がわからなくなりますね。
バリルートならなおさらです。
GPSログを見ると尾根まであと少しで惜しい気もしますが、時間の制約がある中では安全第一ですね。
道に迷いかけるといろんなことが想起され、疑心暗鬼になるもの。
不安になったら撤退がベストです。

by tochimochi (2015-03-13 12:31) 

makiwarikun

ハイ、丹波山村からあまりにも遠い道を歩いた私です(しかも2回。但し、1回目は大菩薩峠までで敗退。)。長距離故か、週末なのにほとんど人に出会わなかったですね。道そのものは、緩やかな登りで非常に歩きやすかった記憶があります。うち、1回は厳冬期で川が半分凍ってましたが、雪は上のほうだけで、ほとんど無かったです。雪があるとこんなに変わるものなのですね。これなら撤退も仕方がないですね。
もう少し暖かくなれば、また高尾山~陣馬山あたりでトレーニングでもしようかと思っています。でも、この時期は花粉が私にとっての最大の敵ですよ。あ~目が痒い!
by makiwarikun (2015-03-14 12:26) 

koh925

独身時代ですから、50年以上も前
ひとりで大菩薩峠に登り、大混雑の山小屋でざこ寝したのを思い出します
両隣の人の足が私の顔へ、交互に並んで寝かされました!
by koh925 (2015-03-14 20:54) 

joyclimb

「ルートファインディングは、 結果的にケモノの足跡を辿ることになる。」、参考になりました。
by joyclimb (2015-03-15 02:13) 

ひろたん

あと少しで尾根で・・・
撤退ですねぇ。
最近、ひろたんも撤退が多いです。
後でみてみるとあと少し・・・・・なんて
安全ですから、それはそれですよぇ。
しかし、金曜日が休みの温泉はなんと寂しいですね。
足跡が凄いですね。大きいものもあり・・・・
by ひろたん (2015-03-15 10:09) 

Jetstream

kuwachan さん、何をしてもダメな日がありますね。 (笑)
クマの足跡でなくホッとしました。そろそろ目覚めるクマは危険です、怖い。
遭遇しなくてよかったです。
 
テリー さん、 クマ出没注意の掲示が多くあるのは、やっぱりこの地域に生息しているんでしょうね。

achami さん、ケモノ道はやっぱり不安がよぎります。 GPS付のスマホをお持ちなら、昭文社の山地図のアプリを入れられることお勧めします。安心です。
by Jetstream (2015-03-15 11:02) 

Jetstream

takenoko さん、 雪がある場合は登山道が確認できない時があるんで迷う危険性は多くなりますね。 迷う地点は同じ? 往来の多いルートならなんとかなるでしょうが。。

mimimomo さん、 多分塩山側からは幾度か登られていると思います。 出来るだけ上の方から登りたいですが、通行できないんでやむなく下から。。。(笑) 小菅側は奥深い感じでいいですね。 

斗夢  さん、塩山側からは展望の良いルートですが、今回は沢からの登りなんで展望は期待できません。 ともかく撤退です。
私も以前峠から富士や南アルプスが見ることができました。

g_g さん、 初めてのコースは不安がありますね。ましてや一般登山道でない時はなおさらです。 白糸の滝って全国いたるところにありますね。
by Jetstream (2015-03-15 11:04) 

Jetstream

OJJ さん、 過分なるコメント、 穴があれば入りたい。 熊穴倉には入りませんが。(笑) 体力↓・脚力↓・金力Xの私は山登り、ピークハンティングを工夫、腐心しています。 とはいうものの、今回の山行はあまり状況を把握せず、カンに頼った優柔不断な山行は失敗です。念のため、迷いやすい分岐やルートのポイントは引き返すときの山行として、デジカメに撮っておくようにします。
一回限りの人生、なんとか百名山達成したいですね。残り多難な山ばかり10座です、登り直差なければならない山が1座です。頑張ります。!(^^)!

tochimochi さん、日常的にバリ道を歩いていらっしゃるtochimochiさんの記事は大変参考になります。やはり、周囲の景観や尾根筋、沢筋をよく見ながら情報をインプットされて、行動・判断されていますね。しかも登攀技術もお持ちだから突破できるんでしょう。いつも流石と思いながら拝見しています。
帰宅後、カシミールでログをみたら、尾根までもう少し、残念!多分15分で行けました。 次回の楽しみにしておきます。!(^^)!
by Jetstream (2015-03-15 11:09) 

Jetstream

makiwarikun さん、 丹波山村からは距離が長く、タフはmakieさんでした往復はできないですね。往来の多い塩山側とは対照的に静かな歩きが楽しめますね。でも静かすぎる。(笑) バス便が良ければ塩山側に下りられるんですが、やっぱり車でピストンになってしまいますね。 また、チャレンジします。
花粉ゴーグルは如何ですか?

koh925 さん、 大菩薩は人気の山なんで、シーズンは人で一杯でしょうね。
混んでいる小屋での体験もさぞ懐かしく思い起こされたでしょう。 今は上日川峠まで車で入れるんで楽に日帰りが出来てしまいますね
by Jetstream (2015-03-15 11:10) 

Jetstream

joyclimb さん、 ケモノでも、クマさんの足跡はトレースしないようお願いいたします。クマ穴倉に近寄らないように! (笑)

ひろたん さん、 そうなんです、尾根までもう少しだったんです。安全第一ですね。 
小菅の湯、週末前日金曜日の定休はないですよね。 実は昨日浸かってきました。 露天風呂では雪がパラパラ、雪見酒ならぬ雪見湯でした。
by Jetstream (2015-03-15 11:17) 

Terry

気がついたら、『こんなことになってしまった。。。』。。。。。でも潔く撤退すればいいんです。←この文句、まさにABさんに読ませてあげたい!
こんな立派な滝があったとは知りませんでした。大菩薩もいろいろなルートがありますが、オラが登った一般ルート以外は人気がないようですね。静かな山登りもいいですが、獣の足跡ばかりだと、余計な恐いことを考えてしまいますね。
by Terry (2015-03-16 18:23) 

Jetstream

Terry さん、 小菅村からの大菩薩も良さそうですよ。 山にはいっぱい獣が歩いていると思いますが、雪があるんで足跡がわかるんでしょう。 (笑) 熊の足跡がなければ大丈夫ですよ。 熊鈴を鳴らしましょう。 
『こんなことになってしまった。。。』。。山は自己責任で済みますが、元に戻せないことがありますよね。
by Jetstream (2015-03-16 21:21) 

nousagi

まともな道は行きたくなかったんですか?(笑)
ほんと、牛の寝通りまでもう少しでしたね。
それでも、人のことなので言えますが
時には、遊び心って大切ですよね。(^^)
by nousagi (2015-03-17 12:02) 

Jetstream

nousagi さん、 そうです。 ”まともな道は生きたくなかった”んです。 (笑)
天気のいい日に牛ノ寝通りで、うたた寝したい。(^^)
by Jetstream (2015-03-17 22:19) 

CARRERA

いい経験ですネー
確かに人生を山登りと例えるとこんな感じです。
私も人生の曲がり角を幾つも間違えてます!^^
by CARRERA (2015-03-20 19:26) 

Jetstream

CARRERA さん、 山はいろんな経験をさせてくれますね。 紆余曲折もよしと思いましょう。 !(^^)! 真直ぐ進んだら、面白くないかもしれないし、 新たな経験、発見もないかもしれないですね。
by Jetstream (2015-03-21 21:20) 

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