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羅臼岳、一番気になるのはやっぱり [百名山歩き]

7月7日 知床連山の主峰、 羅臼岳へ。

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知床といえば、一番気になるのはやっぱり熊。 

羅臼岳の地図にも ”ヒグマ出没頻度が非常に高い” と記述あり。


斜里の温泉宿を3時前に車で出発、 空が青白い夜明け前ですが ウトロを抜けて羅臼岳登山口に向かう。  

途中知床自然センタ―の近辺の道路で、 まず キタキツネ、  そして エゾシカが出現。 知床ならではのワイルドパーク。 最後は道路沿いを駆け抜ける子供のヒグマを発見。[がく~(落胆した顔)]   刺激しないよう遠ざかってすり抜けました。 子グマには要注意、 間違いなく近くには親のヒグマもいたでしょう。  ここは知床。

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登山口のある岩尾別温泉には約1時間で到着した。 支度を整えて登山口のある木下小屋に向かいます。 

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登山口で登山届に記入し、4時過ぎに出発。 4:05

ヒグマの出没多発地帯。 単独での心細さなのか、先発した4人組のシニアの後を付かず離れずにフォロー。 先導役を期待。 リーダーの方は声を上げながら登って行きます。

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尾根に向かって急登の樹林帯を登っていく。  約40分ほどでオホーツク展望台へ。 4:45 

登山口である木下小屋の標高は230M,  羅臼岳山頂は1,661Mなので標高差は約1,431M、距離約6.5KM。 北アルプス三大急登合戦尾根・燕岳より標高差、距離はあるが勾配はほぼ同じ、 侮るなかれ羅臼岳。

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曇天でスッキリせず、 知床の原生林越しに臨むオホーツクの海も鉛色の空に同化してしまっている。 

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尾根の先に羅臼岳らしき頂きが見える。 でも、道のりは長そうだ。 

先行の4人組とのペースが合わず 「どうぞお先に」 と 先頭に出されてしまった。  私が ”トップ引き” にさせられてしまった。 天気予報では、知床は午後から雨。 山間部は午前から降り出す可能性があるとのこと。 なんとか昼ごろまでには下山したい。  先を急いだ方が良い。  

クマとのニアミスはあったかもしれないが、 今まで登山道で出会ったことのない自分のグッドラックを信じよう。。。  でも今朝のヒグマ、子供とはいえ初めて見た。 気がかりではある。

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650M岩峰。 5:15   この近くには嫌な掲示板。  

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”ヒグマ出没多発区間” 、   ”ヒグマはどこにでもいます”。 

地図にも ”ヒグマ出没頻度が非常に高い” 。

本来知床はヒグマの領土であり、人は侵入者なのかもしれない。

北海道2鈴バージョンのクマ鈴を鳴らしながら進む。 羅臼岳はクマ出没の多発地帯だ。 クマ笹地帯はとくに不気味だ。 熊とは出会わないようにと祈るばかり。 見通しの悪い登山道の部分では声を出す。 

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樹林とクマ笹に覆われたコースは不気味。 4人組はペースダウン?で どんどん距離が離れていき 完全に単独になってしまった。 

もう、覚悟して前に進むしかない。 鳴りをよくするためにストックにつけた2鈴をとにかく鳴らす。 見通しのない曲り道では声をだす!

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登山道が尾根の東側に回り込むと 知床連山が見える。 尖った左端が硫黄岳。 

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5:40  弥三吉水。  水場だが、 北海道の水場はエキノコックスという寄生虫がいる可能性があるので 煮沸しなければ飲めません。

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5:50  極楽平。 このあたりはなだらかな道、 極楽?  ここから羅臼岳が見えますが まだまだ遠い。 

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極楽平を過ぎると急登のジグザグ道を上っていきます。 沢筋にある雪渓を数回トラバース。 

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振り返ると知床五湖が見えます。 ( 前日は移動日で時間があったので知床五湖に寄ってみました。~ 後日アップします。) その先はオホーツク海ですが、 曇り空で空と海の地平線が識別できず。

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6:45  銀冷水です。 おいしそうな名前の水場?ですが 夏から秋になると雪渓が消失し涸れるようです。 飲んじゃダメ! 

ここから、雪渓右の尾根筋沿いに登山道(夏道)がありますが、 大沢の雪渓にも踏み跡がありわかり易そうなんでそのまま雪渓に入ります。

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長い大雪渓だ。 

この大沢あたりもヒグマの出没頻度が高い場所のようですが、 雪渓のほうが見透しが利き安心感あり。

私がこの日の一番乗りと思っていたんですが 、 なんと前を二人組が歩いています。 最後の急坂に前でウロウロしているようです。

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二人はアイゼンを持ってないので躊躇していたとのこと。 軽アイゼンを持っていた私が キックしてステップをつくってあげました。  ここはアイゼンがないとキツイです。

登りきると二人組は私にお礼を云って、早々と羅臼平へ。 やはり、若い方はパワーありますね。

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7:50 羅臼平へ到着。 羅臼岳山頂部が真近に。 ここで休憩を入れたいのですが、だんだん空色がおかしくなりそう。  

ザックをデポすれば、ずっと楽なんですが ここもヒグマの多発出没地。 置き引きにあいますのでデポは厳禁。 羅臼平にはフードボックスなるものが置いてあります。 テント泊される方の食料の保管庫、 臭いのする食料はこのボックスに保管しておくというルールです。 

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羅臼岳への上りから雲海に頭をだした国後島の山が見えます。 

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振りかえると知床連山、 硫黄岳に続く縦走路。  雨は霧雨から本降りに。

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岩清水、 ここでザックカバーをかけ レインジャケットとズボンをまといます。 もう少し早くつけるべきでしたがあっという間に雨足が強くなりました。 

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ここから岩稜帯に入り、 最後の上りです。 

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8:55 着きました、 羅臼岳山頂1,661M。  知床連山の主峰なのに、なんと質素な山頂碑。

ここは東の最果ての山、 天気が良ければオホーツクの海原、 国後・択捉島、 阿寒・摩周の山、 斜里岳と北見平野、 知床の大原生林 そして知床連山が望めれるだろうと期待したが・・ 所詮この天気では。。。

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遮るもののない山頂は雨と強風。 まわりは何も見えません、狭い岩場の山頂なので危険。 5分ほどで下山開始。 こんな短い山頂滞在は 強烈な吹雪の洗礼にあった 昨秋の十勝岳以来である。

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清水平からの羅臼岳。  山頂は幾分か明るくなってはいるが ガスって見えない。

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大沢雪渓の下りは、ガスっています。   

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下るにつれて視界が回復。  まさか振り返ると羅臼岳が晴れてた・・・   なんてことはありませんでした。 

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翌日登る北海道最後の百名山、 斜里岳が見えます。。。  天気はどうなんだろうと気掛かりです。


私のコースタイム: 上り 木下小屋登山口 4:05   銀冷水 6:40 羅臼平 7:50  羅臼岳 8:55 計4:50(標準CT 4:55)  下り 羅臼岳 9:00 羅臼平  9:40  銀冷水 10:20  登山口 12:15 計3:15(標準CT 3:20)

往復約8時間歩き甲斐はあります。 (笑) 今回のなかで山頂からの眺めをもっとも楽しみにしていたのが羅臼岳でした。 山頂が風雨でまったく見えなかったのが残念ですが、 北の山の雰囲気をたっぷり味わうことが出来、 無事下山できました。

下山後は岩尾別温泉へ。 ここの露天風呂は超気持ちよかった!


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コメント 22

えすぷれそ

お天気残念でしたね。
10代の頃登ったことがあって、山頂付近の岩ごつごつとか懐かしいです。
昔はクマが出るなんて意識もなく気軽に登ってましたが、ヒグマ増えたんでしょうかね。
by えすぷれそ (2015-08-06 00:40) 

mimimomo

おはようございます^^
ひやひやドキドキの登山ですね。ヒグマは絶対会いたくないです。
雨になったのは残念でしたね。
by mimimomo (2015-08-06 06:57) 

よしころん

鈴をジャンジャン鳴らして大声だしながら歩いているjetさんを想像してしまいました ^^;
ナキウサギなら大歓迎ですがね~
無事登頂お疲れ様でした♪
by よしころん (2015-08-06 08:14) 

OJJ

羅臼岳、TVでは山の形を覚えるほど見ましたがJETさんの文章は迫力ありますね~
雪渓歩きは大変ですね、滑るし踏み抜くし・・・。読みながらなぜか単独行の加藤文太郎を連想してしまいました。
知床五湖をツアーで廻った時ガイドさんからくどいほど注意されましたが、ま、熊にだけは会いたくないですね、イノシシでも嫌ですから。船からの景色がきれいでした。
by OJJ (2015-08-06 08:23) 

tochimochi

高差は約1,431Mはさぞかしきつかったことでしょう。
さらにヒグマの恐怖、雪渓の急登そして雨まで降ってきては大変な登山でしたね。
はるかに見える国後に北海道を感じました。
お疲れ様でした。

by tochimochi (2015-08-06 08:58) 

takenoko

お疲れ様でした。一人になると寂しいですね。何とか熊に合わなくて幸いでしたね。
by takenoko (2015-08-06 09:17) 

テリー

この山を一人で登るのは、怖いですね。
でも、100名山を制覇するには、避けては、通れないところですね。
by テリー (2015-08-06 11:45) 

kuwachan

お天気は残念でしたが、無事登頂よかったですね。
ヒグマにも遭遇しなくてホッとされたことでしょう。
私が知床五湖に行った時にはクマが出て、一番手前の湖しか見学できませんでした。
そういえば、今週の初めたまたま見たBSの番組で知床のことをやっていて
知床で鮭の漁をする番屋の人たちとヒグマが共存している様子を映し出していました。
以前は銃でヒグマを撃ったり、脅したりしていたそうですが、するのをやめたら
ヒグマの方も人間を見ても何もしなくなったそうです。こんなところは世界中で知床だけだそうです。
by kuwachan (2015-08-06 12:18) 

Terry

これで天気が良ければ、北方領土とオホーツク海が見えて最高だったでしょうねえ。
熊がいそうな山こそツアーの団体さんがいて、最後まで先行してくれたら助かるんですがねえ。いてほしくない時に団体さんがいてねえ・・・・・。
羅臼ですか、ここは単独では行きたくないですねえ。クマと高所が恐怖症のオラには無理ですよ。
by Terry (2015-08-06 15:34) 

Jetstream

御訪問、 NICE、 コメント戴き誠にありがとうございます。 
後日レスさせて戴きます。 ご容赦のほど・・・
by Jetstream (2015-08-06 17:47) 

g_g

熊には絶対会いたくないですね、獣臭など如何でしたか。
雨で素晴らしいであろう眺望が見られ無かったのは残念でしたね。
by g_g (2015-08-07 09:16) 

makiwarikun

天気はあまり良くなかったようですが、熊と遭遇せずに無事に下山されて良かったです^^
いずれは登らなくてならない山ですが、私が知る限り、登山者が熊に襲われたというニュースは余り聞かないので、確率論的にみて、「まぁその時はその時で運が悪かったとして潔く諦める…」なんて心境には絶対にならないので、やはり細心の注意が必要ですね。グレートトラバース2でも大声を出しながらヨーキ君が北海道の山を登っていました。
記事で拝見するだけでも北海道の山々の素晴らしさが分かります。
by makiwarikun (2015-08-08 04:41) 

ひろたん

長い雪渓ですね。
お天気が残念ですね。
熊と遭遇せずに良かったですよね。
やはり北海道ですね。
凄い・・・・
by ひろたん (2015-08-08 14:16) 

achami

熊に怯えながらなんて・・・きっと1歩も進めないかも(^^;;

その北アの急登、頑張ってきました♪
しんどかったぁ・・・。
by achami (2015-08-08 15:18) 

Jetstream

えすぷれそ さん、 御訪問ありがとうございます。 山頂部は岩稜帯で険しいですね。 北海道でも羅臼岳が一番クマが出没すると聞いてました。 登山道にも生々しく嫌な警告がありますね。 (笑) 10代の頃の山登りは怖いものなし、バリバリだったと察します。 !(^^)!

mimimomo さん、 入山者が多ければ、クマも逃げ出すかも。 この日は7月初旬の平日なんで、入山者は少なかったようです。  単独でも前後歩かれてればなんとなく不安が紛れますね。

よしころん さん、 前後に誰もいなきゃ、もう必死です。 (笑) ましてや、早朝に道で子グマを見てしまったんで生々しいです。  登山道に熊の臭いがなかったんで、多分大丈夫とは思ったんです、 願望的に。 
by Jetstream (2015-08-09 19:56) 

Jetstream

OJJ さん、 なぜか羅臼岳の番組には必ずヒグマが出てきますね。 (笑)   私は雪渓歩きは大好きです。 !(^^)!  知床のセーリング、また行き機会あれば乗船してみたいです。

tochimochi さん、 知床の山は意外に手強いですね。 天候が変化すると、北の山は難度が一気にアップします。  国後はおぼろげでした。 羅臼岳から一番よく見えるハズだったんですが、 これは残念でした。

takenoko さん、 単独でこんな山は歩きたくないです、 本音。 (笑)

by Jetstream (2015-08-09 20:04) 

Jetstream

テリー さん、 なんとか初志貫徹したいんで登りました。 見えないクマの恐怖、でも出会わないラックを信じています。 (笑)

kuwachan さん、 ヒグマとの共生は参考になりますね。 人を襲うような環境に追い込めないことも大事でしょう。 でも、クマは相手を選んでくれそうもないんで注意した方が賢明ですね。 今はガイドつけない限り、1湖までしか歩けないようです。
by Jetstream (2015-08-09 20:11) 

Jetstream

Terry さん、 国後とオホーツク、 次回のお楽しみです。  スイマセン、記事がたまってます。  高所は剣の岩場をクリアされれば文句なし、クマは多分大丈夫です。 センターでクマよけスプレーはレンタルできるそうです。 単独者が多いんで、登山口で同行して戴ける方もあると思います。 機会があれば是非。

g_g  さん、  登山道でクマの体臭がなかったんで、不安だけど多分OKと信じました。 (笑) !(^^)!  知床での天気はあまりよくありませんでしたが・・・・

makiwarikun さん、 クマはやっぱり気をつけた方がいいです。 (笑)  クマ鈴は鳴のいいものにしてくださいね。 知床では登山道だけでなく、散策路に出没するんで、毎日報告があるようです。 ただほとんどが事故になっていないのが救いです。 いろいろネットでの情報から、出会ってしまった時の対処は考えておきました。 出没多発地帯はやはり知床と日高でしょうね。 クマは怖いけど、それ以上に北海道の山は魅力があります。 北海道の山はまた行きたいですね。

ひろたん さん、  私でも雪渓のほうが歩きやすい場合がありますね。 視界もありクマも見つけやすいですね。 羅臼岳上部は岩場の連続で、予想より厳しかったです。

achami さん、 クマと出会ったら、目をそらさず後ずさり。 ポーチかザックを棄てて退却するしかないです。 (笑)  記事拝見、表縦走踏破おめでとうございます。 またステップアップですね。 度胸はついてきます。 !(^^)!
by Jetstream (2015-08-09 21:46) 

山子路爺

登り始めは見通しが良かったのに、上は雨でしたか。
それでも登頂、素晴らしいですねぇ〜
これで北海道はクリアーですかぁ〜
100坐目はどこか決めているのでしょうか。

by 山子路爺 (2015-08-10 10:24) 

koh925

ヒグマ出没地点でテント泊
落ち着いて眠れないでしょうね
by koh925 (2015-08-10 16:13) 

Jetstream

山子路爺 さん、 次回の斜里岳が北海道のラストです。 でも、北の山はいいんでまた登ります。 100座目? まだ先です。 (笑)

koh925 さん、 羅臼平にテント場があります。 食料はフードロッカーに保管しておくなんて知床ならではですね。 テントに食料を持ち込んでクマに襲われたというのはポロシリ岳でもありました。 テント泊は怖くて無理ですね。

by Jetstream (2015-08-10 21:19) 

のら人

数年前北海道に転勤で少し住んでましたが、利尻と礼文には近い?為且つ、ヒグマがいない!という大きな理由で数回登りましたよ。(笑)今後も奥尻を歩きたい等の夢はありますが、そんな理由で自分には無理です。(苦笑)下手にヒグマの凶暴性に関する文献を昔読み漁ったのが災いです。(爆)
by のら人 (2015-08-11 08:10) 

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