ボッソン氷河 [アルプスの旅2024]
7月10日 ボッソン氷河 Glacier des Bosson
この日の天気予報は曇り一時雨。ということで、本日は遅出。直ぐ引き返せれる近場ということでボッソン氷河見物に出かけました。シャレーのバルコニーからも眺められる氷河です。
シャモニー南バスターミナルからボッソン行バスに乗車、20分余で到着します。終点バス停から数分歩くとボッソンのチェアリフト駅に着きます、標高1,040M。
チェアリフトからは正面にボッソン氷河、左はエギュイデュミディですが雲がかかっています。やはり天気予報通り。
シャモニーの谷向こうはエギュールージュから続くカーラヴェロンの山塊。まず展望台へ。
シャレーグレイシャーの横を抜けると
ボッソン氷河展望台があります。
展望台から見上げると、ボッソン氷河とエギューデュミディ。氷河から流れ落ちる滝、昔はこの展望台直下まで氷河があったようです。あるサイトで100年前のボッソン氷河の写真と現在の写真が比較掲載されていました。アルプス最大のスイスのアレッチ氷河も同様で大きく氷河が後退しています。
氷河をズームアップ。ここの氷河は突起になった、針山になったりしたところもあり。急峻な場所なので氷圧も強いからかもしれませんね。
このシャレーの近くに飛行機の残骸が展示されていました。なんでこんなところに? 残骸は1950年にエアインディア機(ロッキード)がモンブラン山頂付近で墜落。山頂直下で残骸が発見されましたが、その37年後にこの展望台近くの氷河で同機のエンジン、プロペラや車輪等が発見されました。37年にわたって山頂から下る氷河に埋もれた残骸が氷圧によってこのシャレー付近まで流されてきたということです。氷河のパワーはすごいですね。さらに1966年にもエアインディアB707がほぼ同じ場所で墜落した事故もあり、なんだかミステリーがかっています。
リフト駅に戻ります。ツーリストの方はここまで。ここからボッソン氷河の末端が間近に見られるピラミッドへのトレイルがあります。ピラミッドまでコースタイムで上り1時間半ですが、日本のコースタイムでは2時間程はかかるでしょう。曇りで一時雨も予報されています。時間も12時近くですが行けるところまでということで、このトレイルをハイクすることにしました。
ボッソン氷河の西側の尾根をジグザグに上がっていくルートですが、樹林帯に覆われて展望はなし。
ボッソン氷河からの肥沃な土壌の恩恵なのか、いろんな花が咲いていました。
似た花はいつくかありますが、特定できず。
樹間から見えるプレヴァン。
ピンボケの花
こんな樹林に蔽われた道が続きます。
お昼も過ぎていたので、この近くでランチ。一部樹間から陽がさしてきますが、すっきりしない感じ。ピラミッドまではあと1時間くらいはかかりそう、勾配もある。スマホの地図アプリにログも入れていなのでポジションがつかめない。天気予報では午後シャワーの可能性もある。見透しのない樹林帯の道が続く。この道を歩き続けても・・・と弱気の虫が出てきました。ピラミッドまで登りきれば、ボッソン氷河の舌で至近にみれますが、翌日の行動予定もあるし不毛な消耗はしたくない。折り返すことにしました。
この写真(シャモニー観光局)を見るとピラミッドまではずっと樹林帯が続きます。そこから先は谷沿いを進み尾根へ上がってバルマ小屋、更にジャンクションまでのコースタイムは4時間です。コースタイムのレベルがつかめませんが、標高差は1,165M もあり尾根の上りは急峻、タフなコースと思われます。特に今年は残雪が多くバルマ小屋への上りは難しいかもしれませんね。現地の山行記録と書き込みをみるとリフト駅(シャレーグレイシャー)から5時間半かかった記録もあり、休憩を含めると往復8~9時間は見ておいたほうがいいかもしれません。急に思い立って登れるルートではなく、コース状況を事前に把握して行程を組む。8時半の始発のリフトで発って最終便18時までに確実に戻って来ることです。https://www.jeromeobiols.com/la-jonction-chamonix-mont-blanc/
ジャンクションのサイトでの掲載写真を見ると、ボソン氷河とタコナ氷河が接するジャンクションからの眺めは壮観です。「絶景中の絶景」という書き込みもあり。10年前であればジャンクションまで登れたでしょうが、今は脚の届かないところです。せめてピラミッドまでは行きたかったですが、遅くとも10時にはリフト駅を出発すべきです。天気が良くないから近場にするという思いつきで出かけるコースでないと反省。ともかくも、本日は中途半端なハイクになってしまいました。
面白い2段の葉、クルマパクネソウに似ています。
日本にも似た花がありましたね。
リフト近くのヒュッテまで戻ってきました。晴れてます。もう少し頑張ればよかったのかな。(笑) 上手くかみ合わない中途半端なハイク。やはりお天気次第です。
車がおいてあります。ここまで車でも来れるようです。登山道以外にも、車道があるところが多いです。登山者やハイカーに気づかないよう、目立たないようつくられているのが巧みです。ヨーロッパアルプスには標高の高いところに小屋やレストランがあります。食料品、日常品と云った資材はクルマやリフトで荷揚げされるようです。物価自体は高いですが、日本の山小屋のように、下界に比べてビール1缶千円、格差は5倍といった法外な値段になることはまずありません。また、インフラも下界と同じようで不便に感じることはさほどありません。いまやドローンも大型化し輸送力もアップしているので、日本でもドローンでの荷揚げをもっと利用した方がいいと思います。コストの削減や山岳環境の改善に活用出来るのではないでしょうか。
余談になりますが、富士山のように、人気の山域へは入山料を徴収することも必要のように思えます。スイスやフランスでは宿泊にともなう滞在税やツーリスト税が課されるところがほとんどです。宿泊費の5%とか、ひとり@一泊3~10€程度です。日本もインバウンドで訪れるツーリストの皆様方には応分に負担をお願いするのは、世界的にみてもまったく違和感はないと思いますが・・・
麓のボッソン集落からみたボッソン氷河、左はエギューデュミディ。
シャレーに戻ってバルコニーからズームアップして撮ったボッソン氷河。ピラミッドやジャンクションも見えました。ピラミッドから先は厳しそうなトレイルです。
翌日はスイス国境方面に出かけました。
2024-09-24 06:00
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コメント(15)
氷河の後退の事実を知らされると地球の温暖化をまざまざと見せつけられる感じですね。日本の気候も毎年毎年最高気温や雨量が観測史上最高を記録していてこの先どうなることか心配になります。
道沿いに咲く可憐なお花たちが綺麗で目を楽しませてくれますね。
シャレ―のバルコニーから撮られたボッソン氷河、迫力あります。
by kuwachan (2024-09-24 12:31)
氷河は、ゆっくちと動いているのですね。
エアインディアにとって、モンブランは鬼門なのですね。
by 八犬伝 (2024-09-24 21:51)
氷河から流れ落ちる水が停めどなく・・・ずっと解け続けてるんですね。
ズームアップした写真、迫力あります。
花を見つけては観賞しながら歩くのも、すごく楽しそうで、羨ましく^^。
by Inatimy (2024-09-24 23:04)
氷河は見たことが無いですが、迫力ありますね(^_^) 温暖化の影響を受けているとも聞いています。
by ぼんさん (2024-09-25 05:08)
ボッソン氷河は凄い急傾斜ですね。
この傾斜だからこその氷圧で流れてくるのでしょう。
氷河の後退も間近で見れましたね。
ピラミッドまでの標高差が1,165Mではかなりのアルバイトになります。
翌日の行動を考えて引き返したのは賢明でしょう。
1枚目と3枚目は日本では見ないような膨らみのある花ですね。
4枚目の白い花はアケボノソウに似ていると思いました。
by tochimochi (2024-09-25 10:57)
地球温暖化の影響で、氷河は年々後退していますが心配ですね
カナダ・コロンビア大の氷河へ雪上車で行きましたが、
毎年5m後退していると聞きました
by koh925 (2024-09-25 16:39)
氷河が観れるなんて、普通想像できません!
観れたとしても、TVで別世界です。
高山植物が、奇麗で可愛いですね!
by ファルコ84 (2024-09-25 17:04)
こんにちは^^
ボッソン氷河、素晴らしいですね。迫力ありますね♪
氷河から流れ落ちる滝、神秘的です。
高山植物も見た事がないお花が多いのですが、中には日本でも見られる、ヒメフウロやアケボノソウがありますね。
なんだか嬉しくなりました^^
by いろは (2024-09-25 17:31)
kuwachan さん、氷河は大迫力ですが後退したモレーンや砂礫を見ると無残ですね。
昔は麓の村近くまで氷河あったようですが、産業革命が起きたころからCO2排出量が多くなり、特に20世紀になって温暖化が加速して氷河の後退が顕著になりました。気候は国境を越えて世界中に及ぶので各国の自覚と対応が必要ですね。氷河を間近で見るには上へ上へと登って行かねばなりません。
八犬伝 さん、 アルプス最大のアレッチ氷河は年に200m程度下へ移動しているとのこと。このボッソン氷河は急斜面を下っているので、37年X200Mで7~8KM移動するとしたら、墜落はちょうどモンブラン山頂近くです。
エアインディアにとっては不遇な山です。それにしても氷河のパワーはすごいですね。
Inatimy さん、谷の間を下る氷河の氷圧の凄さが、立体的なたオブジェを造っているかのようです。
アルプスには氷河を源にした滝が多くみられます。もう少し頑張れば、氷河がよくみれたのですが・・
でも沿道の花が意外に多く、楽しめました。
by Jetstream (2024-09-27 20:32)
ぼんさん、 温暖化でヨーロッパアルプスの氷河は今世紀末までに消滅するとも云われています。
こん美しい光景が無くならないよう、持続可能な経済と生活スタイルに変えていかなければなりませんね。
tochimochi さん、 谷間に挟まれた急斜面を下る氷河のパワーは底知れないでしょう。おっしゃる通りこのコースは急騰が続くので、登れば登るほどキツクなりそうです。ジャンクションまで行けば超絶景ですが、行程とお天気が重要と思いました。
沿道の花々、なかには日本にある花と同じかもしれませんね。
by Jetstream (2024-09-27 20:40)
koh925 さん, 氷河の後退はどこでも同じですね。
コロンビア氷河も後退し雪上車でかなり奥まで行かないと氷河がみられなくなりましたね。
ファルコ84 さん、 氷河は下流に肥沃な土壌をもたらし、いろんな植物が育まれますね。
この美しい自然の姿が残って欲しいです。
いろは さん、 ボッソン氷河は壮大で、末端だけでも見れたのは幸いです。
見透しのない樹林帯のハイクでしたが、植生がゆたかでいろんな花が見られたのは嬉しい誤算でした。
北側の斜面で、日本でも見られるような花もありました。
by Jetstream (2024-09-27 20:41)
ボッソン氷河やエギューデュミディの眺め、素晴らしいですね~^^。
シャモニーにもいろいろなコースが整備されていて、やはり世界の観光地だけありますね♪。花もとても綺麗で、見入りました(^^♪。
by drumusuko (2024-09-28 11:32)
drumusko さん、ボッソン氷河などはマイナーなスポットですが、素晴らしい観光資源だと思います。まだまだ行って見たいところもありますが、遠いところ・・限りがありますね。
by Jetstream (2024-09-29 12:25)
氷河って初めて見たときそのすごさが全然分かりませんでした、お子様だったので(笑)。お花、どれもキレイだなぁ~!!
by トモミ (2024-10-01 13:54)
トモミ さん、山岳地帯に残る氷河は素晴らしいです。氷河の下流は植生が豊かで花々が楽しめますね。
by Jetstream (2024-10-02 09:30)