*日本百名山・百座目の聖岳山頂
8年前に日本百名山をすべて踏破。時の過ぎ行くままに、私も70代なかばを迎えようとしています。まだまだこれからと思いながらも、最近「エンディングノート」なるものに取りかかりました。すべて網羅したものではありませんが、大部分出来上がりました。概して暗い終末のイメージのテーマで、幾分早すぎるというのが世間一般の見方でしょうね。(笑) でもそうではありません、むしろポジティブな気持ちになりました。なぜ取り掛かったのかを含め書き綴ってみました。参考になれば幸いです。
今年の正月に羽田空港で事故がありました。自衛隊機の隊員がお亡くなりになったのはとても不幸でしたが、旅客の皆様に犠牲者がなかったのは幸いでした。私ども夫婦でここ数年海外へ旅していますが、私が「エンディングノート」にとりかかった動機はこのような「不慮の事故」です。航空機事故の可能性は120万回に1回という確率で低いですが、遭遇する場合はゼロではありません。旅行中の事故、山での遭難も不慮の事故に含まれるでしょうし、事故だけでなく地震といった不意にやって来る天災もあります。不慮の事故や災害に遭遇して亡くなった場合、我が家の状況が不詳では遺族・相続人が困惑することになります。また私どもには整理を託す子供もいませんので、なおさら生前に没後の整理を想定しておかなければなりません。世の中も、家族のあり方の変化や人生の多様化でこのようなテーマに向合あう場面が一般的になるかもしれません。
いつかは人生の終焉を迎えます。自分の終末に関わることにおいて、遺族・相続人の手間、負荷や不安を極力軽減したい。そのためにも自分が伝えておきたいこと、希望することを伝えておくこと。年齢を重ねれば先々の不安も漂います。素直に向き合ってどう対処すべきかを整理しておけば、「漠然とした不安」もなくなります。そして没後のことだけでなく、自分がどのように生きてきたか、過ごしてきたかという整理にもなります。自分のその時点でのポジションを把握すれば、以降の人生の過ごし方を見つめ直す機会にもなり、前向きに過ごすことが出来るような気がします。
と云って何から書き始めるかです・・・市販のエンディングノートもあります。上はコクヨさんのホームページに掲載されている目次、必要と思われる項目が整然とカバーされていて評判が良いようです。これに順次記入しておけばいいですね。ただしノート紙面への手書きなので、訂正や変更の場合が面倒です。時間の経過とともに変更点も出てきます。パソコンで作成できればと、ネットで調べてみました。いろんな書式がありますが、主旨がほぼ網羅されていると思われるエンディングノート(無料)をダウンロードしてみました。エクセル形式なので変更点を修正し、毎年アップデートすればそれほど面倒でもありません。但し、遺言書ではないので、法的な効力はありません。遺産に関わる遺言書(自筆で)と財産目録(パソコンでの作成は可)は別途作成しておくことが必要です。
主な内容としては 1) 個人情報:基本的な情報に加え、自分の生い立ち・経歴や出来事を簡略にまとめておきました。いままでの自分を回顧する機会にもなり所感を書き添えておくのもいいでしょう。 2)財産状況:土地・建物や金融資産情報をリスト化、債務があれば書き加える。収入と支出先もリスト化。そして、遺言書とともに相続に対する基本的考え方を書き添えておいた方がいいでしょう。 3)医療情報と終末医療:介護、延命治療や緩和ケア等に関して自分がどう考えどう望んでいるかということ。 4)葬儀・供養:どうしたいのかという希望と方法。これを機に墓じまいをするという方もあると思います。 5)デジタル情報:パソコン・スマホ依存度が高くなってしまった社会なので、これは厄介です。 SNSやサイトのアカウントのリスト化(ID・PW等)。そのまま放置しておくと、悪用されたり課金されたりするケースがあるので、解約やアカウントの削除が必要です。この機に出来るだけ整理し、アクセス頻度が少ないサイトではクレジットカード情報は削除しておくことでしょう。メールアドレスもどうするのか、解約・削除方法を含め記しておくこと。 6)遺族へのメッセージ。そして、こういった没後の整理を如何にするか、相続人や終活代行サービスを含めて誰に委託するのかをよく考えておかなければなりませんし、相応の気配りも伴います。また自分の終末を悟ったら、出来るだけ自分で整理・処分しておくことでしょう。
大まかな項目はほぼ記入しました。まだ検討して書き加えなければならない項目も一部ありますが、印刷して綴じたノートを保管します。そしてノートの保管場所を相続人或いは委託する人に伝えておくこと。相方も同様に作成中です。パソコンに残す場合は、ログインのピンコードとノート(パスワードも)があるホルダーをわかるようにしておくことです。普段から情報を共有しているつもりでも具体的に伝わってないこともあるので、文字で明示しておいたほうがいいでしょう。また、元気なうちに書いておくのがいいでしょう。
こうしておけば、心の片隅にある「漠然とした不安」も大幅に軽減されスッキリします。気持ちも前向きになります、まだやりたいことをやろう、もっと頑張ろうという元気もわいてきます。
「後はなるようになるさ」という考え方もあり。「なんとかなりそう」という方はそれでもいいでしょう、人それぞれの於かれた環境・状況によると思います。夫婦どちらかが先だったとしても、残されたパートナーの没後も含めて考えておかなければならないこともあるでしょう。残された遺族・相続人には出来るだけ不都合や支障がないようにしたいと思います。今問題になっている「空き家」激増もそのひとつでしょう。「立つ鳥跡を濁さず」そうありたいものです。そして、残された人生を前向きに楽しく過ごしたいですね。
追:エンディングノートを作成しようとしたことは、これから残された人生をより前向きに生きてエンジョイするためです。多様なる見方もあるとは思いますが、その点を何とぞご理解いただければ幸いです。