7月5日 ツェルマットに滞在する期間の天気予報はすべての日が晴れ、或いは晴れ時々曇りに変更となりました。天気次第ではスケジュールの取捨選択もしなければと思っていましたがどこへ出かけてもOK。
スイスでは7月初めからがシーズンですが、概して7月末まで気候が安定しています。観光地でもあるツェルマットは7月中旬になるとツーリスト、ハイカーがどっと増えますので、少しでも混雑を避けるよう最初に訪れることにしました。
31年ぶりのツェルマット再訪、まず初日はマッターホルンとまわりの山群全体が見渡せるゴルナグラート展望台へ行ってみることにしました。
歩いて6分ほどでツェルマット駅前に着きます。多くのEタクシーが並んでいます。
その隣にゴルナグラート鉄道のツェルマット駅があります。
ゴルナグラート鉄道の車両(翌日撮影)。標高1,604Mのツェルマット駅から標高3,089Mのゴルナグラート展望台までの標高差約1,500M、距離9.3KMを約40分で結んでいます。前日購入したピークパスで改札を通ります。ゴルナグラートまで片道普通運賃は@CHF63⁻、往復なら@CHF126-と高いので、数日滞在するならピークパスPEAKPASS を利用した方が断然お得です。
9時半頃出発の便、平日(火曜日)なのに座席はほぼ埋まって一部が立って乗車という程度です。我々は換気の良さそうなドアの近くに立ったままでマスク乗車しました。
どんどん高度を上げていきます。先ずは車内ウォチング。ウエアや靴といった装いから見ると車内の乗客の8割程度がツーリストです。アジア系は韓国の方が目立ちます。やはり中国からの方は見かけません。日本の方は数名といった程度です。中東系、アジア系の方のなかにはマスクを着用している方を見ます。我々はケーブルカー、ゴンドラといった交通機関に乗り合わせる場合は、一貫してマスク着用することにしていました。
リッフェルアルプからの上り、マッターホルンの裾野まで見えます。上部にかかる雲がクリアになればいいなと思いながら、広がる風景を楽しみます。(マッターホルンの上部は雲で覆われていることが多いですので、これでもマシなほうですね。)
見下ろせば、リッフェルバーグ駅 2,582M。この日はあの駅まで歩くことにしています。緑の草原から岩々しい景観への変化に標高が上がっていくことを感じさせます。。
終点のゴルナグラート駅、標高が3,089M。マッターホルンを眺める場所でもありますが・・・
寒いのでまずダウンを着ます。駅から5分ほどの上りで展望台、空気が薄くちょっとキツイです。
なんといっても圧巻の眺めは、モンテローザ、リスカム、ブライトホルンとゴルナーグレイシャーです。
モンテローザとリスカム、その間を下っていくゴルナーグレイシャーです。
カスターとポリュックスのツインピーク、ブライトホルン。その麓を下るゴルナーグレイシャーは全長約10KMに及びます。31年前に訪れたのは8月上旬ですが、もっと寒かった。氷河がもっとおおい尽くしていた印象です。今回の印象は氷河が痩せて後退した感じで、山腹の残雪も少なくなったように思えます。気象変動・温暖化の影響でしょう。
スイス最高峰 モンテローザ 4,634M、憧れの山のひとつです。もう10年若かったら、モンテローザやモンブランをガイド同行で登るという妄想を抱いたかもしれません。でも当時はまだ働いていて長期休暇はとれませんでした。それと日本百名山踏破に夢中でした。
顧みると「時間と機会」はもう取り戻せないと感じるものの、こうして再びゴルナグラートから超弩級の4千M峰を眺めることが出来ることに感慨を覚えました。そしてこんな機会を得たことに感謝したいと思います。
展望台からの動画をアップしてみました。撮り方自体がダメで修正してもしきれず。BGM付で約6分ほどですが、興味のある方はご覧ください。(PCでのフルサイズ画面での閲覧がお奨めです。)
反対側のフィンデル谷を挟んで東に見えるのはロートホルン。岩礫の山塊にも道が見えます。どんな道なのかなと興味深々です。真ん中の山がロートホルンで奥に位置する高いほうのピーク、オーバーロートホルンは3,415M。険しそうだが、登れる山なのか?
クルムホテル・ゴルナグラート、スイスアルプス最高地点のホテル。値段も高くマッターホルン側の部屋、2名朝食付で1泊500~600フランくらいのようです。標高3,100M、日本では槍ヶ岳山荘くらいだが上高地から歩いて10~11時間くらいはかかりますが、ここは電車で40分。スイスの山岳交通・宿泊インフラの充実ぶりには驚くばかりです。もちろん日本とスイスそれぞれ一長一短はありますし、日本の山の魅力は他国にない独特のものと思います。
ほとんどのツーリストは展望を楽しんだあとは、駅から電車で折り返してツェルマットに下山します。31年前は我々もゴルナグラートで折り返し、午後はクライネマッターホルン・シュバルツゼーに向かった駆け足旅行でした。
ゴルナグラート駅近くのチャペル。後景のマッターホルンは雲に覆われたまま。
今回はゴルナグラートからリッフェルバーグまでのんびりと歩いて下ることにしていました。山歩き初日なのでまず高度適応と足馴らし。自宅周りを毎日4~5キロ散歩していたとは云え、5月の荒船山以来の山歩きで大丈夫かな? そんな心配はスライドショーのような風景が吹き飛ばしてくれました。
標高3千Mに咲くアルプスの花。
下っていくゴルナグラート鉄道。青空にオレンジの電車が意外にマッチしてます。
アプト式のラックレール、最大勾配200%と云われていますがどれくらいの斜度? 11~12°くらい?
左手にはモンテローザ山群、リスカム、カスター・ポリュクス2峰。まるで別世界に飛び込んだようで、夢のなかを彷徨っている感覚に陥ります。電車に乗れば麓からわずか1時間で大パノラマの山岳風景がみられる、という時空間の短さが感動を膨らませているのかもしれません。
ゴルナー谷を挟んで正面はマッターホルン、左の稜線はイタリア国境。
この齢になってワクワクしっ放し、悠久の時であって欲しいです。 電車、ゴンドラもいいですが、やはり自分の足で歩くと高揚感が一層高まります。
足下を見れば花もいっぱいですが、ここは何といっても鮮烈な風景。
下りなのに景色に圧倒されてなかなか足が前に進みません。リフェルホルン2,927Mとリッフェル湖が見えてきました。マッターホルンの雲が邪魔、はやくクリアになれば・・
ローテンボーデン 2,815M、右の白い山はブライトホルン。[Monte Rosa Hutte 4h]・・モンテローザヒュッテまで4時間? ガイド(ザイル)付きでアイゼンを着け、ピッケルをもって氷河・クレバス帯を抜けてヒュッテへ、モダンなヒュッテに宿泊しモンテローザを目指すなんていいですね。夢に終わりました。
[Gornagrat 50min] ・・ゴルナグラートまで50分の上り? 下りで1時間以上かかりました。 日本の山地図のコースタイムなら多分 X1.25くらいではないでしょうか。[Riffelberg 1h]・・ この絶景では無理です。(笑)
ローテンボーデン駅横のベンチでランチです。このベンチはマッターホルンとリッフェルゼーを眺めるプレミアムシート。
リッフェルゼーの逆さマッターホルンですが、雲が・・・
リッフェルゼーから数百メーター先にも小さな湖(UNKNOWN)があります。・・・すこしずつマッターホルンにかかる雲が取れてきました。
もう少し・・
登山道は右にカーブ、背後の山はブライトホルン。
マッターホルン、雲がクリアにとれました。風景に酔いしれます。
スッキリとしたマッターホルンを前にして、しばらく佇んでいました。来てよかった!!!
ゴルナグラートでの圧倒されるようなモンテローザ山群とグレイシャー、広がるようなパノラマ風景、アルプスの花々見ながら歩くのは天空の別世界のようです。
脚を運ぶごとに、景色のなかに同化していく自分の心が徐々に洗われていくようです。そしてこのマッターホルンのようにスッキリ。新型コロナ感染が発生してから2年半、内向きでなんとなくもやもやとした日々でした。こんなに清々しい気分になれたのは久しぶりです。「このご時世」だからこそ、来てよかったと実感しました。
日常からの脱却とは、こんな体験なのかもしれませんね。
リッフェルバーグが見えてきました。彼方にはアニビエ谷の名峰群、ゲーベルホルン、ジナルホルンも見えます。ヴァイスホルンももう少し雲がとれれば見れそうです。アニビエ谷にも行って見たくなりました。
リッフェルバーグ駅。背後はスネガとロートホルン、奥にはドーム、テッシュホルンが姿を現しました。
14時前にリッフェルバーグ到着。まだ時間はありますが、本日の歩きはここで終了。
本日の歩いたログです。ツェルマットと周辺の地図はサイドバーの一番下Zermatt Mapをクリックして戴ければどんなあたりなのかが把握できると思います。
ゴルナグラート鉄道、リッフェルバーグ駅。近くにはホテル・リッフェルハウスがあります。
ここからツェルマット行電車には乗車せず、ゴンドラで下ることにしました。
フーリまで下る多連式のミニゴンドラですが、乗客も少なく貸切でマスク不要。
フーリからツェルマットへのゴンドラも貸切でした。ツェルマットの街が近づきます。