標高2,352Mラックブランと背後のシャモニー針峰群は別世界のようでした。
* * * * * * * * * * 7月13日
ラックブラン小屋が見えました。小屋はどうやら営業しているようで、ほっとしました。
小屋に上がってみると、ラックブランとモンブランのコンビが視界に。
ラックブランは白い湖という意味ですが、湖面の雪は既に溶けて深いエメラルドブルーの水をたたえていました。
ヴェルト針峰群、グランドジョラス、メールドグラスがシャモニーの谷を隔てて対峙。
ちょうどお昼時なので、小屋のテラスで昼食をとることにしました。温かい野菜と肉入りのスープを注文、そして忘れずにミネラルウォーターを補給、これでひと安心です。我々とほぼ前後して歩かれていた英国のご婦人も到着。プランプラからの登山客は少なかったですが、小屋には意外に多くの登山客がいました。シャモニー東の街、アルジャンティエールからでしょうか?
オーダーが出来るまでの合間に小屋の上に行ってみました。
北はベルベデール峠に向かう氷河渓谷。左はエギュイ・ベルベデーレ、右はエギュイ・ラックブラン。エギュイルージュ(赤い針峰群)の主峰群です。
南はシャモニーの谷を挟んで大パノラマ。右からモンブラン山群、雲がかかってしまったシャモニー針峰群、ダンデュジュアンからグランドジョラスまで。写真には入り切れませんでしたがヴェルト針峰群。そして眼下にはラックブラン。6月までは残雪で名前の通り白い湖になっているとのこと。
小屋のテラスに戻って昼食。ロープウェイ運休により観光ハイカーや日本人ツアーグループも見受けません。きちんとした登山の身なりの方がほとんどでラックブランを静かに楽しまれています。連合いは日本人男性の方と言葉を交わしたとのこと、ここまで来られるとは我々同様思いが強かったんでしょう。道中お会いしなかったんで多分アルジャンティエール側から登ってこられたと察します。英国の御婦人は早々と下山される様です。ちょっと早いのでは思ったんですが・・・
昼食を済ませて湖の北側の小高い丘へ移動。グランドジョラスが正面に見えるポジションですが両隣のヴェルト針峰群とシャモニー針峰群が雲にかかってなければ・・・
アルペンドール、アルプスのカラスのようです。
グランドジョラス北壁だけは雲がありませんので、ズームアップ。
雲が切れないかと待ちましたがスッキリとはいきません。
モンブラン山群だけは標高が高いのか、いつもその姿をみせてくれます。
ラックブランからのパノラマ、広角で入らないので二枚を合成しました。左のヴェルト針峰群、雲にかかったピークから右下斜めの稜線がグランモンテ、ここも本年度はメンテの為ロープウェイが運休となっています。まだまだ歩きたいコースが多く残っています。
2週間前のアルプスの天気予報はほとんど #58942;#58943; と絶望的でした。ラックブランも断念かと思われましたが なんとかここまでたどり着きくことが出来たのは予期せぬ嬉しい展開でした。ここは天気の良い季節・日が絶対条件、できればラックブラン小屋に泊まって夕景や日の出を見れたら最高だと思います。また来れる機会があればいいですね。
雲のないスッキリしたラックブランからの針峰群の眺めはシャモニー観光局の日本語サイト、英語版Englishサイトでご覧ください。*夏・冬versionがあるようです。 特に英語版サイトは詳細までとても良くできていて、トレッキングルートまでダウンロードできます。絶景写真も多く、見るほどに毒かも。私はこのページを隅々まで覗いて沼に陥って、また来てしまいました。
約1時間半過ごしましたが、時刻は13:30。徒歩で麓まで下りなければなりませんので下山のデッドラインです。
ラックブランと赤い針峰群を見納めて、13:35 下山開始。
下山はアンデックス経由の往路を折り返すのではなく、フレジュールに直行するルートで下ります。ラックブランへのルートはフレジュール経由が一般的ですが、シャモニー東のアルジャンティエール登山口(Tre Le Champ か Col des Montets)より登り約3時間半、下り2時間半くらいのようですがもう少しマージンを取っておいた方がいいと思います。シャモニーとの間の移動に時間がかかりますが、こちらの方が確実で時間は読めるでしょう。この日はアルジャンティエール側からの登山者が大半だと思われます。
分岐の道標。向こうにはメールドグラス氷河と前々日歩いた Grand Balcon Nord とモンタンヴェールが見えます。
沿道の花も楽しめます。
途中に湖、フレジュール湖。午後になって雲も多くなってきました。
ここにもアルペンローゼが一杯咲いていました。
フレジュール 15:25。ラックブランから1時間50分もかかりました。ここからはプランプラまでの Grand Balcon Sud を歩くと最低1時間半はかかりますので、16:30の最終ゴンドラに間に合いませんので麓のプラまではダイレクトに下ります。
フレジュールからはジグザグの不快な林道を少し下る。このままプラまで林道を下るはずはないと思いGPSで位置を確認、すぐそばに登山道がクロスする地点から登山道に入る。
レ・プラへは下りのみと楽観したが、思ったより時間がかかる。樹林帯で見透しも良くなく長く感じました。例年は運航してるロープウェイを利用した方がいいです、或いは観光局のスタッフの推奨通りアルジャンティエールに下ったほうが正解だったかもしれません。
途中でプラへ下るルートとそのままシャモニーの街まで下る分岐がありました。時間はシャモニーのほうが30分余分にかかるが、プラでのシャトルバスの待ち時間を含めればシャモニーへ直接向かった方がよいと判断しそのまま進む。(これも正解ではなかった。長い!)
約1時間でフローリア小屋に到着。16時半頃だが日の入りが長いせいか、まだ多くのハイカーが休んでいた。(シャモニーからの観光ハイカーがほとんどのようです。)このコースで唯一展望が開けるポイントですが、夕刻になれば早く下山するということが染みついた(笑)我々は通過します。
Petit Balcon Sud(小さな南向きのバルコニー)登山道。ここからシャモニーのホテルまで約1時間、ホテル到着は17時半でした。ラックブランから約4時間、この下りはほとんど見透しもなく長く感じました。シャモニーの街をホテルに向かう途中、英国のご婦人にまた遭遇、奇遇でした。帰路は往路をプランプラへ戻ったとのことです。時間からすると、ゴンドラの最終時間ギリギリに間に合ったんでしょう。復路は最後約300Mの上り返しがあるんで、時間がかかったかもしれません。
シャモニーのホテルを8時前にでて帰着は17時半、総行動時間は9時間半でした。
GPSのトラックをチェックすると移動時間は6時間12分、移動水平距離は24.9Km、ゴンドラ・リフト区間を除くと19.8Km となっていました。私の記録ではゴンドラ・リフトを除いた行動時間は3時間20分、下りは3時間55分 合計7時間15分ですが、歩行中頻繁に立ち止まって小休止したということです。
長い道程なんで連合いの体力・脚力を懸念しましたがゴンドラ・リフトのお陰で、上の標高グラフ御覧の通り。アップダウンはあるもののほぼ水平道で登りは少ないので疲労感もありませんでした。何よりも素晴らしい風景と花が我々を後押し、快適に歩くことが出来ました。最後の長い下りだけが厄介でしたが・・・
念願のラックブランへのトレッキング、思い描いていたような素晴らしいコース、展望でした。今こうして想い起こせば、夢の中の風景であったかのようです。
追記:今回の欧アルプストレッキングをどう伝えたらよいか私の心の中でちょっとした葛藤がありました。ただ単に山行記録、写真だけ掲載するに留めておくのがいいのかなとも思いましたが、今まで通り、素直に自分が受けた印象や感動をそのまま記しておくことにしました。最後まで拝見戴きありがとうございました。次回はスイス・ヴァリスへ移動します。