ロシアのウクライナ侵攻でロシア上空の飛行を停止しています。歴史は冷戦時代に逆戻りするかの様相で多方面に影響が及んでいます。
- 日々の雑感
ロシアのウクライナ侵攻に伴い欧米の航空会社がロシアへの乗り入れ及びロシア上空の飛行を停止しています。日本のANAとJALもロシア上空を回避する航路で欧州路線を運航するようになりました。この余波と影響、今後どうなるのか。旅行・商用といった人の往来や輸出入・物流に大きな影響が及ぶと思われます。いつも拝見させて戴いている方の記事を拝見し、アプリ Flight Rader 24 をダウンロードして飛行状況を見てみました。3月9日時点でロシア上空を飛行しているのはロシア、中国の航空会社。そしてちょっと奇異なのが韓国の大韓航空が飛行していることです。欧米とは共同歩調をとらないのでしょうか?
JALは北回りルート。90年代初めまで北回り・アンカレッジ経由で運航していた経験と実績もあり、東京からカムチャッカ半島沿いをアラスカまで北上し、グリーンランド、アイスランド上空を飛んでロンドンへノンストップで運航しています。ロンドンをハブにしてBAで各都市へ向かうことになります。東京発が約15時間半、ロンドン発が16時間半と従来のロシア上空便よりも3~4時間余分に飛行時間がかかるようで、パイロットも2編成(4名搭乗)とのことです。
ANAは中央アジア上空を飛行する南回りルートで運航中(フランクフルト線とブリュッセル線)。東京からソウル、北京からチベット、カザフスタンからカスピ海上空を通りアゼルバイジャン、トルコ黒海沿いからフランクフルト、ブリュッセルへノンストップで運航しています。欧州のほとんどの航空会社はこの中央アジア南回りルートで運航しているようです。東京発が約15時間半、フランクフルト発が約13時間とJAL北回りに比べると速いスケジュールになってますが風向き等で変わる可能性あるようです。ワクチンはANAブラッセル便で輸送されてくるようですが供給に支障がでないことを願います。
正式なフライトスケジュールは各航空会社のサイトでご確認ください。
もう一つは中東ルートです。この場合の中継地はドバイとドハです。東京からドバイ、ドハまでが約10時間前後、そこから欧州の都市まで約6時間半~7時間、乗継時間を含めなければ搭乗時間は17時間くらいです。
Flight Rader 24 で大雑把に飛行ルートを追って、GoogleEarthで切り出した地図にトラックを描いて以下のようにイメージしてみました。
また、メディアの記事や情報より個人的な推測も含めこんごの動向を読んでみました。
北回りルートでは冷戦時代に大韓航空がカムチャッカでソ連機に撃墜されたこともあり、一定の距離をとらないとリスクもあります。更に16時間以上も無給油で飛べるかという不安と機体トラブル時での緊急着陸先が必要で、アンカレッジでの給油と降機という可能性もあるかもしれませんね。
南回りは中央アジアの旧ソ連圏の国々の上空を通過するので、今後の展開ではもう少し南下したコースどりを強いられるかも得るかもしれません。
日本発と欧州発での飛行時間の違いはジェットストリーム(偏西風)の向きと流れで左右され、季節によっても変わるようです。いわゆる追い風か向かい風かにより飛行速度が変わります。北回り(北極圏に近い)ルートでは日本発(往路)の飛行時間が短く、南回り(中央アジア)ルートは欧州発(復路)の飛行時間が短いということになります。JALは欧州発の北回り復路が3時間半ほど多くかかるので、復路は中央アジアルートでの運行を検討しているようですが通過地域各国への飛行申請許可が必要です。
中東ルートはドバイ(エミレーツ)やドハ(カタール)で乗り換える必要がありますが、欧州都市への直行便ネットワークが充実していて個人旅行される方ならメリットがありそうです。日系航空会社が就航していない都市へ行く場合、時間差は縮まります。
いずれにしてもロシア上空ルートよりも遠回りで時間とコストがかかり、燃料費も高騰するなか航空会社にも厳しくなるでしょう。また乗客も16時間前後も機内で過ごし続けるのは過酷、エコノミークラス症候群が多発しそう。個人的には今までの12時間くらいが搭乗時間の限度であってほしいとは思いますが、歳とともに反比例となりますね。
新型コロナもいづれは収束し航空需要は再拡大すると思われますが、ロシアでプーチン政権が権力の座に留まる限り冷戦時代に逆戻りする可能性もあり。グローバルな人の交流・モノの移動が縮小し品不足・コストアップで世界経済も大きな影響を受け、航空燃料の高騰で更に航空運賃や物流コストは上昇すると思われます。
新型コロナ禍での閉塞感に加え、ロシアのウクライナ侵攻での各方面への影響が及んでいます。世界の分断が進み、内向き指向が続くなら残念です。
なによりも、これ以上人命が失われるのは悲痛です。 STOP PUTIN, NO WAR!
「アンカレッジ空港のうどん屋」伝説を懐かしむ声もあるようですが過ぎ去った時代のこと、冷戦時代に逆戻りしないことを願うばかりです。