前日はエラン谷へ出かけましたが、本日はその谷の東にあるアニヴィエの谷に脚を延ばしてみました。ツェルマットのあるマッター谷の反対側(西側)の谷です。どんな新しい絶景が見られるのか楽しみです。
アパートを出たのは9時頃、この日ものんびりとユル歩きとなりそうです。
アニヴィエ谷奥のジナル山群が近づきました。
ヘアピンカーブが続く道には、ちょっと屋根が風変わりな教会。
グリメンツの村にある観光案内所で、パンフレットをもらいに行きました。グリメンツからゴンドラで上がってモワリー湖に下って、パスでグリメンツまで戻る予定を立てていました。
ところが、グリメンツからのゴンドラは工事中で運休と伝えられました。山頂のコルヌ・ド・ソルボアまでのゴンドラはもう少し先のジナルからしか運航していないことがわかりました。
グリメンツもアニヴィエ谷の有数な山岳リゾートです。
プランをギブアップして、グリメンツの村を抜けてジナルに向かいました。
ジナルの集落には10時半すぎ、ゴンドラの駐車場に車を停めて登山靴に履き替えます。
ジナルからもソアボアへゴンドラ(Zinal Cable Way)が運行しています。ここの標高は1,674M 。標高差約1,000Mを一気に10分ほどで運んでくれます。
スイスハーフフェアカードがあるので往復で半額の16フランで買えました。ツェルマットのゴンドラに比べると半額くらい、ローカルなリゾートなので割安です。鉄道の一般路線だけでなく、ほとんどのロープウェイ、リフトや登山鉄道に1/2カードが適用されますのでスイスの個人旅行には必須だと思います。
ゴンドラは貸切。眼下のジナル集落が遠ざかっていきます。
窓から見上げれば空はスカイブルー。
標高を上げていくとアニビエ谷の奥にはジナルホルン、オーバーゲーベルホルン、その奥は三角の山。
ズームで撮ってみると、マッターホルン★★★。ツェルマットでは存分にマッターホルンの姿を満喫したつもりなんですが、なぜかマッターホルンはどこなのかと追いかけています。日本でも山に登ると、富士山は、槍ヶ岳は・・と同じです。マッターホルンは見る方角によってプロファイル(山容)が変わり、ここからは山頂部が台形上に見えます。
中間駅(標高2,437M、Soreboisソアボア)を過ぎるとマッターホルンも視界から消えますが、代わってアニヴィエ谷の山々の視界が広がります。
La Vouarda 駅(2,691M )に到着。コルヌ・ド・ソアボアのピークまでのコースタイムは30分と書いてあります。
登山道はゴンドラ駅からピークに向かった尾根の中腹をコルに向かってトラバースしていきます。道端には花畑が続きます。まずは、登りですが眩いばかりの花畑と山々の風景が目に飛び込んできて、なかなか脚が前にすすみません。
ソアボアの稜線にでると、モワリー湖が見えます。モワリー湖の標高は2,248M。モワリー氷河からの融水をたたえたダム湖です。7月上旬なのに水位のレベルが低いようにみえます、氷河も後退して融水量も減っているんでしょうか?
コルの稜線を登れば山頂「角」です。
コルヌ・ド・ソアボア Corne de Sorebois、標高2,895M「ソアボアの角」に到着。山頂標柱はありませんが、ケルンが積み上げられていました。ゴンドラ駅から約40分、時刻は11時45分。ちょうどいいランチタイムです。
遮るもののない360度のパノラマ展望です。ソアボア稜が南に延びてジナル谷とモワリー谷の分水嶺となっています。稜線の先はGarde de Bordon 標高3,310M。あの頂に立てばマッターホルンの北壁が間近に、天空の別世界がみれるようです。
東側の展望は圧巻です。ツェルマット(マッター谷)側とは裏側のアニビエ谷から見た ヴァイスホルン、ツィナルロートホルン(ジナルホルン)、オーバーゲーベルホルン。いずれも4千M級の山、反対側のマッター谷(ツェルマット)側からも見たトリオの山です。
ヴァイスホルンは標高4,505M、マッターホルンよりも標高が高い山。超弩級の大きな山塊で、存在感たっぷり。左はBishorn 右にはSchallihorn を従えています。
ジナルホルン(ツィナルロートホルン 標高4,221M)は綺麗な三角に尖った端正な山。右はLe Besso。
オーバーゲーベルホルン 標高4,063M、ジナル谷の奥にある高峰。
コルヌ・デ・ソアボアから南に延びる稜線の先のピークはガルド・ド・ボルドンGarde de Bordon。その奥に見えるのはダン・ブランシュ 標高4,356M。四角錐の綺麗な山でマッターホルンに近く、一見マッターホルンと見違える場合もあります。エラン谷、アニビエ谷、マッター谷を分ける尾根に収斂する位置にある名峰です。右奥はPointe de Mauruti、Pointe de Moiry Tsa del Ano といった尖峰群。
モワリー湖の西側を取り囲む山塊越しにはアローラ谷の針峰群(Pt. de Bertol、Dent de Perroc、Aiguille de la Tsa)。
さらにその西側にはDents de Veisivi、Pine d’ Arolla、La Serpentine、Mt Blanc de Cheillon、Grand Combin(グランコンパン)。
左奥の尖った針峰群はAiguille Rouges d’Arolla、Point de Vouasson、右奥の白い山はモンブラン?
北側、ローヌ谷の向こうにはベルナーオーバーラントと接する稜線、ローチェンタール谷の山群。
ベルナーオーバーラントの山々、右奥はアレッチ山群。
アニヴィエの谷。
モワリー湖は上流の氷河からの流水を貯水したダム湖です。グリメンツから車輛で乗り入れ可能です。ポストバスも湖の上流まで運航していますので氷河トレッキングや、モワリー湖を取り巻く山腹をハイキングすることも出来ます。バスをうまく利用すれば歩きの幅が広がりそうです。今回はグリメンツからのゴンドラ運行が中止だったのが誤算でした。運航中止の理由はどうやら工事中、7月の夏山シーズンなので運航中止はないだろうという思い込みはダメですね。情報不足です。
帰国して調べてみましたが、調べるほど素晴らしいトレッキングコースがいくつかあります。バスを使えばいろんな歩き方ができるということも後でわかりました。奥深い山域なので、簡単に来れるところではありませんが夢として残しておきます。
悠久の自然が生んだ素晴らしいソアボアアルプスの眺めに別れを告げて下山します。帰路は登山道わきの花畑が待っています。
花は次回の記事に入れたいと思います。
Geum triflorum(Prairie Smoke Seeds) ダイコンソウ属、とても珍奇な咲き方をするようです。レアな花を見れてとれもラッキーです。 復路のゴンドラも貸切。
ジナルの村へ戻ります。
コルヌ・ド・ソアボア山頂から撮った動画ですが、ご覧いただければ幸いです。手ブレ補正で不具合(波うち)部分もあり、どうぞご容赦下さい。