早朝、 美瑛の宿泊先から白金温泉を経由して、登山口の望岳台駐車場に着いた。
天気は小雨、 やっぱり天気予報通り。 大駐車場には2台駐車してあった。
1台はなんと岡山ナンバー。 私が3台目のようです。
前日美瑛の駅の観光案内所の方が 「十勝岳で一昨日初冠雪の情報がありましたよ。」
雨なのでシャツ・ズボンに上下レインウエア。
ダウン、フリースをザックに、 アンダーはサーモの下着とタイツ、スパッツ。 念のため軽アイゼンも入れる。
帽子も耳当て付の冬帽子に変更。
サングラスも風圧を予想して顔を曲面で覆うタイプにした。
出来る限り耐寒装備だ。(車に置いてあるスーツケースには夏~冬ものを詰め込んできました。)
ポットには熱すぎるほどのお茶を宿で入れてきた。
GPSの機能チェックし、十勝岳へのトラック表示、 電池残量を確認。 OKだ。
美瑛岳との分岐。 美瑛岳は左、 十勝岳は右。
5分ほど登ると、
十勝岳避難小屋で休憩。 きれいで堅牢そうな小屋です。
ここから左にトラバースして尾根らしき道の取付く。 霧雨でガスった状態で見透しが利かないが 前十勝岳方面へ入り込まないようロープが付けられている。
十勝岳は活火山、 繰り返された噴火で 火口がいくつもある。
急登のガレた尾根を登るにつれて、雨混じりの風がどんどん強くなる。 視界が余りありません。
尾根の途中でこの日登頂して折り返してきた方(一人目)に出会う。
状況を聞いてみた。
ここから先の登山道のコース・様子を教えて戴くとともに、
「最後の山頂への登りは強烈な冷たい突風です。 頂上は雪でエビの尻尾でした。」
「ロープ・マーカーをよく見て登ってください。」 とアドバイスあり。
尾根を登り続ける。 GPSの軌跡がやや北方向にずれているがマーカーがあるんで大丈夫だろう。
登りきると昭和噴火口の縁らしき稜線に着く。 十勝岳まで1.6KMの標識。 雪が残っている。
火口縁の稜線は広大だ。 ガスった状態では迷うこともあるが、 マーカーもある。 稜線の雪にこの日登った方の足跡も残っている。 GPSでトラックを確認するが、ぴったしトレースしてしている。
どうやら一人ではないらしい。 この稜線で折り返す方(二人目)とすれ違ったが、 簡単な挨拶だけで急ぐように下って行った。 この日は私が3番目のようである。
この火口縁の稜線はさえぎるもののなく、右(西)からの強風が続く。
寒さは覚悟したが、 この強風はキツイ!
今年春に買ったレインウエアは、 フード部分もしっかり出来ていて 風にも強そうです。
まだまだ行ける。
この平坦な広い火口縁の稜線はやや右(南)にカーブ。 この稜線は思ったより長い距離がある。
ガスに巻かれると 迷いやすいかも。
左手に山頂への尾根がうっすらと見えてくる。 右に入り込まないようロープが張られている。
ここからの登りはペンキのマーカーとロープが山頂へ導いてくれるが、 ガスって識別しにくい。
このあたりも ”迷” ポイント。 特に下りが分かりにくそう。
登山者(2名)の足跡が残っているので、それを外さない様にトレース。
吹き上げる様な小雪交じりの風が強烈。 こんな烈風は初めてである。 寒さも真冬。
帰路 強風と雪で足跡が消失してないかが最大の心配だった。
トレースに行き詰った時点で、 直ぐ引き返そうと思ってはいました。
ガスっているので 山頂らしきピークが浮かんでくるが偽ピーク、まだ先である。
岩陰での ポットのお茶の温かさが喉に沁みる。
登りの尾根も広いので、 マーカーを見失いそうであるが 登山者の足跡を出来るだけ外さないように登
る。 最初の方が、迷うことなくトレースしていただいたおかげである。
下山時の為に、ところどころでの標識、マーカー、ロープの位置を出来るだけ頭に刻んでおく。
(迷いやすいポイントは、いつも写真を撮っておきますが この日天気ではカメラは出せません。)
まだ何とか行けるが、 なかなか頂につかない。 溶岩の急斜面の登りが続く。
風も強くなるばかりだが そろそろ頂上に近いはずだ。 エビの尻尾状態の雪がへばりついた岩が見えた。
その岩をまわり込んだところが
十勝岳山頂 2,077M。(トップの写真)
ガスっているかもしれないが、 十勝岳山頂の標識は目立たない。
録画した”
にっぽん百名山・十勝岳” を見ると 十勝岳は三角の頂。 晴れていれば全方位の素晴らしいパノラマで 日高連峰、 トムラウシ、 大雪山、 北見山地の天塩岳まで見える。 富良野の原野、 とりまく噴火口も見下ろせるはず だった。
曇の予報でも、山頂は雲、 ガスがきれる場合もあるが、この日はガスに覆われ モノクロの世界。
残念だが、こんなこともある。
登頂記念の写真を撮ろうとするが、 レンズが結露してはっきりと写らない。 オリジナルのレンズキャップをつけていればよかったのだが、MX-1に自動開閉レンズキャップをつけていた。 この自動キャップの欠点は隙間があり、冷気が入り込んで結露状態。 タオルで拭ってもすぐ結露。 防水・防塵・耐寒使用のカメラが山では必要だ。
液晶画面で確認しても、どれひとつ満足に撮れたショットはない、 しかも昭和火口縁~山頂はモノクロ写真状態。
強風と寒さの山頂での長居は出来ない。
下山も登山靴のトレースを見失わないよう下っていく。
尾根を下った火口縁稜線への戻る地点がガスってわかりにくい。
マーカーと足跡を確認しながら火口縁稜線を辿り
昭和噴火口の標識に着く。
ここまでくると、ほっとする。
尾根を下って避難小屋に向かう。
途中、下山されるご夫婦の登山者にあう。 この尾根でリタイアとのこと。
避難小屋で一息つこうと小屋に入ると、 10人以上のツアー登山者で一杯だった。
何とか入れさせてもらって昼食。 お話していると A旅行主催 東京発の2泊3日(大雪山と十勝岳)。
昭和噴火口への尾根を登りだしたが、厳しい風雨でリタイアを決定したとのこと。
(横にいたご婦人、”10万円以上払ってリタイアはガックリです。 でも天気には勝てませんから・・・・” と耳打ちしてくれた。)
ツアーガイドが、 「駐車場にバスを手配しました、 温泉もすぐ入っていただけるように段取りしたありますので本日はゆっくりとおくつろぎください。」 と 申し訳なさそうに 伝えていた。
どうやら、この日は私が最後の登頂者のようです。
途中でリタイアもあるという想定と覚悟で登りましたが、 登山者のトレースもあり ほんとうにラッキーでした。
昭和噴火口への尾根で会った方の情報、アドバイスには感謝。 ありがとうございます。
それと、 GPSのお蔭です。 位置・方向確認しながらの登山は不安感をぬぐいます。
こんなガスった気象条件では、コンパスを使った地図読みは出来ないでしょうし、
GPSがなかったら登っていないと思います。 己に過信せず!
無事 望岳台に到着。 何とか十勝岳 踏破できました。
山登りは、いろんな山、 異なった季節に登って経験、 場数を踏んでおくと 後に登る山でその経験が生きる。 そんなことを感じました、 今回の幌尻岳と十勝岳の登山で。
そんな意味でも、 バラエティーにとんだ百名山への挑戦はおもしろい。
北海道の秋は中日本の山の初冬のような気候に豹変。 十勝岳も夏の天気の良い日の山行、 TV番組で見ると、素晴らしく楽しそうであるが・・・・
私の今迄の山行のなかでも、 季節はずれの 最悪の天候。 これが、大雪・十勝連峰の厳しさか。
天候がよければ問題ないが、夏の軽装備で低温、雨 強風の悪天候だと トムラウシのように低体温症で遭難事故につながる。
良い時は素晴らしい、悪化すると超キビシイ、 両極端になる。
雨天、防寒・防風対策を怠ってはならないということを改めて実感。
甘くはない北海道の山である。
下山後は白金温泉の元湯#59127;に浸かりました。 とてもいい湯で体を温めることが出来ました。
美瑛から旭川へ、 さらに北上し名寄から この日の宿
天塩川温泉へ向かいます。