7月5日 トムラウシ山へチャレンジだ! 北海道の百名山制覇のヤマ場でもある。
大雪山系の深部にあり、アクセスとアプローチの困難さが ”大雪の奥座敷” と呼ばれる所以です。
北海道では幌尻岳に比類すると云われる難関の山トムラウシ、 やっぱり体力・脚力がいります。 バテました、 もうこんな山は登りたくないと思いました。
7月5日 トムラウシ山へチャレンジだ! 北海道の百名山制覇のヤマ場でもある。
大雪山系の深部にあり、アクセスとアプローチの困難さが ”大雪の奥座敷” と呼ばれる所以です。
北海道では幌尻岳に比類すると云われる難関の山トムラウシ、 やっぱり体力・脚力がいります。 バテました、 もうこんな山は登りたくないと思いました。
大雪山から南下してトムラウシへ、 更に十勝岳へ縦走するコースがある。 小屋も本州の小屋と違って緊急避難的。 基本的にはテント装備(寝具・自炊)が必要で重装備となる。 このコースは難易度では超A級の糠平川渡渉コースの幌尻岳と双璧である。 残念ながら私にはこの縦走コースの選択はあり得ない。
”トムラウシ温泉短縮登山口” からのチャレンジが私にとって可能な選択肢である。 とは云うものの難易度では上級の厳しいコースであることに変わりはない。 避難小屋すらないし、日帰りしか選択がないコースなのである。 私にとっては まったく”短縮” ではない。
7月5日、 早朝3時過ぎに登山口の車中で起床。 天気は予報通り晴れのようです。
朝食を摂って 携行品をパッキング。 できるだけ必要かつ最低限のものに絞りますが、いざという時の非常食やレスキューアイテムがあるんでそんなには軽量化はできません。 カメラは防水コンデジのみ。 携行飲料は少なくして水場で補給する手も考えましたが、北海道の水はエキノコックスに感染する恐れがあり煮沸する必要があります。 ということはコンロと鍋を持参しなければなりません。 熟慮した結果、水場で煮沸するのは止めて ペットボトル4本とサプリメント2コを携行することにしました。 天気予報は晴れ時々曇りでも レインジャケット類、防寒衣類は外せません。 日帰りとは云っても、ザックはズッシリ。
3:55 登山届に記入し出発です。 上りのコースタイムは6時間20分、 下りは4時間半 合計10時間50分。 休憩等を合わせれば約12時間。 登山口で前泊した方の大半は既に出発しています、 私は後発です。
白樺の樹林と笹根の間の登山道を進みますが、 前日の雨でドロドロです。
20分ほどで温泉コース分岐にでます。 トムラウシ山まで8.5KMの標示。 早朝なのに湿気と暑さでヒートアップ、 ジャケットを脱いで2レイヤーにして 虫よけスプレーします。
カムイ天上までは樹間に覆われ見通しがよくありません。 前日の雨で 登山道もドロドロの部分と 濡れた石ころで決して快適とはいえない。 カムイサンケナイ川沿いの沢を辿る道(旧道)が10数年前まで使われていたが 崩落で通行止めが多く 西側尾根沿いの新道を進むことになります。
尾根コースからは振り返れば 日高の山々。
ポロシリ岳はどこかな? 多分右の奥。 昨年登ったばかりだが懐かしい。 2泊3日の重いザックでの渡渉コースは今思い起こしても 厳しく 最難関である。
この稜線も荒れたドロドロ道が続きます。
南富良野の原野と山には雲海が・・・・・ 幻想的。
十勝連山も大雪の原生林も眺められる展望のいいコースです。 十勝岳(中央)も晴天の日に遠くから眺めれば美しい。 昨秋の初冠雪後の悪天候日、強風とガスで見透しがきかず、酷寒の登山は厳しかった。 「これが北の山だ、甘く見るな、お前にはいい試練だ 。」 と云わんばかりに 十勝岳の山の神に洗礼を受けました。 十勝・美瑛岳は晴天の日にまた登ってみたいです。
緩斜面で楽なはずなんですが・・・ダートの重馬場のようにひどい登山道ではおもったより消耗させられます。 4コーナーから直線でバテて失速するかも。 不安は募る、 しんがりでもいいがゴール出来るかである。
雪渓を渡るとコマドリ沢への下りとなる。 せっかく標高1,500M近くまで登ったのにここで100M以上ジグザグに急坂をコマドリ沢へ下ります。 帰路の登り返しを思うと憂鬱な部分です。
コマドリ沢は旧道と合流しますが、歩かれてないようで旧道は確認できませんでした。 地図で見ると 旧道の方が距離は短いし雪渓もあるんで登りやすいような気がしますが・・・
コマドリ沢分岐の標からは右手(雪渓に赤のスプレー)の雪渓を登ることになります。 ここで4本アイゼンを装着。
この雪渓、標高差200Mの急登で思ったより時間がかかる。 傾斜もあり消耗させられる。
雪渓が終わったところでアイゼンを外して一息入れていたら、後から来た登山者にあっという間に抜かれてしまった。 先発された方はもう前トム平の上部を登っている。 ここはやはり健脚の方がほとんど、 いやそうでなければチャレンジする資格はないのだろう。 やっぱりここは強者の道か、 これはマズイ。
ここから低木と岩稜帯に入る。 このあたりはガスにまかれたら迷いそう。
前トム平への尾根まで標高差百メートル余の岩、ガレ場。 急登ルートが結構キツイし、気温も上昇。
前トム平に上がると トムラウシ山?が見えたきた。 7:45 まだ2時間半以上登らなければならないはずだが 偽トムラウシではないか?
尾根を進むと岩石帯、 一面岩石ばかり。
ケルンを過ぎると高台。 やはりトムラウシ本峰のようです。 大きな山容が迫ります。
たっぷりの残雪、 眼下はトムラウシ公園のようです。
ここからトムラウシ公園へ下ります。 大きな岩と低木帯、 下る道筋がわかりにくいところがあります。
8:25 トムラウシ公園の標のあるあたり一帯は多くの残雪が残り、 巨岩・奇岩がいくつか見られます。
公園からは急坂の雪渓を登り返します。 ここからがキツイところ。
雪渓を登りきって 登山道は本峰の西側にあるトムラウシ分岐へトラバースしていきます。 この区間が正念場だ!
このトラバース道には高山植物が多く目に入ってきますが、 西から吹きつける冷たい風にはフリーズしそう。 今までのキツさがダウンブローの如く効いてくる。 この区間は長いが 楽しむ余裕は全くなし。 写真も撮る余裕もなし。 後発の登山者にも抜かれていく。
ジャケットを着て防寒。 足りなければまだダウンとフリース、レインジャケット・ズボンもある。 耐寒の備えはしていたが、 もっと早くジャケットを着け 更にウインドブレーカー代わりにレインジャケットを重ねて着れば多分なんでもなかったのかもしれない。 風が止めばまた日差しで暑さがぶり返すだろうとグズグズ様子見してしまった。 タイミングが悪い。
晴天下で見透しもきくからまだいいが、ここもガスに巻かれたら道筋から外れてしまう可能性がある。 GPSは必須の山。 縦走でまとめて 旭岳~トムラウシ~十勝岳をピークハントするのは体力のある健脚登山者でも 余程気象条件に恵まれなければ過酷となるだろう。
2009年7月中旬、トムラウシで9名が低体温症で死亡した遭難事故はしっかり記憶に残っている。 まさにロケーションは トムラウシ分岐への上り~前トム平の下りであった。 この山域は夏でも天候が悪化したら怖い。 強風・雨と気温の急降下だ。 ましてや 寄らば大樹-寄せ集めの百名山ハンターのツアーは危なっかしいことは、私のような素人でも容易に察せられる。
陽は強く照りつけているが、冷たい強風と消耗した重い体、脚が前に進まない。 初夏でも体の中までフリーズさせるような風、 これがトムラウシだ。
これでは途中撤退かと一瞬 脳裏をかすめたが、 分岐に近づくにつれて風は収まった。 タイミングが悪かったのかもしれない。
何とかトムラウシ分岐に到着。 9:25 ここからは岩稜帯。 ここでザックをデポしている方も多いようだが、万が一ザックをクマに置き引きされたら悲惨だ。
ザックのショルダーベルトが肩にのしかかり、 背面が腰に食い込む。 ザックの重さが堪えるが最後のひと踏ん張り。
分岐から東に見える岩峰のある稜線を目指します。 山頂はその先のようだ。 登頂して折り返して下ってくる登山者もいる。 ここを登っている登山者は早い、多分ここを登る方の大半はコースタイムの8掛け位で走破できる方と思います。 健脚の通る道だ。 やっぱり甘くはない。
この登りも本当につらい。 もう、二度と登りたくないという思いだ。 完全にバテた。 平ヶ岳・姫ヶ池に向かう淀みのない坂の辛さを思い出した。
分岐から20分、岩稜に上がるとトムラウシ本峰の山頂が現れた。 そんなに距離はないんだろうが、まだ遠くに見える。 やっぱりザックをデポしたいという誘惑に駆られるが あともう少し。
最後の岩稜部のキツい上りだが とにかく無理せず一歩一歩進んでいこう。
結局分岐から45分、 ようやく山頂がすぐそこに。(標準コースタイムは30分です。)
10:12 トムラウシ山頂に着きました。 この+1 は本当にキツかった。
まず、休みたい! 岩の上に横たわって休憩です。 ノックダウンです。
しばらくしたら、気分回復。 登頂出来たという安堵感が湧いてきたが 登山口まで無事下山しなければ登頂とは云えない。 下りも登り返しがあり 気が抜けない長い行程が待っている。
見わたすと、 360度の展望が広がる。 ロケーションとしては ここは北海道のど真ん中、 百名山9座の中でも丁度中心に位置します。
長くなってしまいますので、今回はここでストップ。 次回 PART Ⅱ で山頂からのパノラマと 復路、 トムラウシのお花畑 の記事を予定しています。
長々となってしまった記事を拝見いただき誠にありがとうございました。