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烏帽子小屋から野口五郎岳へはコースタイムは3:30。樹林帯の急登から一変して稜線のザレ場を歩くルートに変わるはずだが、目の前にはどしっとした山が横たわる。いきなりこんなところを登っていくのか。 ま い っ た !
11:56 小屋をあとにし、テント場を下り瓢箪池の横を通る。テン場は凹んだ部分に階段状に整備されて設営しやすそうでお奨め。風も凌げやすい立地に思える。水場があれば最高だが、すぐ近くの小屋で水を分けてもらえばよい。
燕岳から大天井岳へ続く山塊と稜線の眺めもいい。
標高を上げていくと視界は広がる。
鞍部から再び上りへの稜線にでると、エメラルドブルーの高瀬湖。その向こうには唐沢岳と「餓鬼岳」。名前からしても厄介で扱いづらい感じ(笑)だが、登ってみたい山のひとつである。
針ノ木岳と蓮華岳も見える。針ノ木岳から見た高瀬湖が印象に強く残っていました。手前左の山は不動岳か船窪岳(後ろに隠れている?)。
七倉岳と唐沢岳の間には登山スタート地点である高瀬ダム、あのダム堰上からのぼってきたのである。さらに七倉山荘近くにある七倉ダムが見える。前回記事で紹介したように、この両地点の間は東電の管理道路となっていて、一般車両は通行禁止。タクシーを利用するか、歩きかどちらかです。信濃大町も見えます。
三ツ岳への稜線を進むが、目の前の三ツ岳が大きく立ちはだかる。いきなりこんな高いピークを越えなければならないのか、気がふさがりそうになるが、この上りがこの稜線コースで一番キツい正念場。
でも、どんどん広がる景色がキツさを反比例して押し戻してくれる。
三ツ岳への急登の稜線にたどり着くと槍ヶ岳が視界に。今回初めて目にする槍です。
11:30 三ツ岳東峰。振り返ると立山、剣岳、烏帽子から船窪新道の山々が望める。
西は赤牛岳、その奥には薬師岳。カールまで見えます。
登山道は尾根の右側をトラバースし、左のピークの鞍部を左側に進む。
稜線は南に進路を変え、あれが野口五郎岳? まだまだ果てしなく遠くに見える。
縦走路は東側をトラバースしていく。稜線越しには黒岳ともいわれる水晶岳だ。
北鎌尾根からの槍ヶ岳は勇壮な姿を見せてくれます。
あのなだらかな山が目指す野口五郎岳のようです。まだ遠くに見えます。 緩やかなアップダウンを繰り返し徐々に高度を上げていきますが、ブナ立尾根の急登のキツさがダウンブローのようにじりじりと及んできてペースが上がらない。黒部側から冷たい強風が吹き上げてくる。台風が接近する前兆だろう。
途中岩場のピークが数か所あり。目を凝らしてみるとなんとなく山頂標識らしい。近くに見えてきたが小屋らしき建物もない。
▲2,792Mのピークを14時前に通過、コースタイムから推定すると残り1時間半くらい。まだまだ先だ。
眺めは素晴らしい。 水晶岳(左)は百名山で踏破したが、赤牛岳(右)は二百名山でまだ未踏。水晶岳を登った時、ここが北アルプスのセンターで最深部と思っていました。水晶の山頂に立った時、北に赤牛岳が見えました。
後日、赤牛岳が登山口からもっとも遠い山であることを知りました。新穂高温泉口からも、富山の折立からも、高瀬ダムからも・・普通の脚では一泊してもたどり着けない深遠なる山です。
今回晴天が続けば新穂高から3泊で赤牛岳まで往復するプラン(野望か妄想か)を密かに温めていましたが・・天気は長続きしませんね。
稜線のアザラシ。燕岳のように、この尾根にも花崗岩の奇岩が多い。
どこまで来たんだろうと振り返ってみる。▲2.792Mピークも後方、三ツ岳はさらに彼方。
時刻は15時近く、左手奥にはっきりと標識らしきものが視認できる。
正面の岩石帯の上り、大岩に「500M」とペンキで書かれてあった。
ゴロゴロの岩場(ゴーロ)を登り切り砂礫の峰を超えると、すぐ下に青い屋根の小屋が見えた。
15:04 ようやく野口五郎小屋に到着、ここまで約3時間10分。途中のペースではバテて16時くらいになってしまうかもしれないと思ったが、予定より早く着けた。
小屋は空いているようでした。(夕食時の時点では宿泊者は11名のみ)
時間がたっぷりあるので野口五郎岳を登ることにした。
小屋から主稜線に上がり、岩石の尾根を進むとすぐ頂上だ。
野口五郎岳山頂!
標高2,924M、今シーズンでは一番標高の高い山。
序章でも書きましたが、全方位パノラマ展望。 東から餓鬼岳~大天井岳、前穂・奥穂~槍ヶ岳、乗鞍、鷲羽~水晶~赤牛、薬師岳、五色が原、立山・剣岳、後立山、さらに頸城、富士山、八ヶ岳、南アルプスまで見えました。水晶岳と並ぶベストビューポイントと思います。
登山口から休憩含めて約9時間、前半はキツい上りであったが、後半の稜線歩きは今シーズン一番の山歩きでした。
明日は今日やり残したことを片付けて下山しなければ・・・
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