遠くから見ると、槍の穂先のように天空を突き刺す山。
昨秋、蝶ヶ岳から見た槍沢~槍ヶ岳は圧巻で忘れられない。
北アルプスのランドマーク、 いつかは登ってみたいと思っていた憧れの山である。
でも、この山は私が今まで登ったどの山よりもアプローチが長い。 (1) 王道と云われる上高地からの槍沢コース (2) 新穂高温泉からの飛騨沢コース (3) 表銀座を縦走し西岳からの東鎌尾根コース があるが (3)は体力、技量とも無理です。 (笑) 初心者コース*である槍沢か飛騨沢のどちらかかで思案した。(*この山域での初心者のレベルです)
今回は、山仲間のNさんとは久しぶりの山行、 ”一泊二日”での示唆があった。 ということは槍の肩(槍ヶ岳山荘)まで一気に登り切ってしまう#59122; ??? 昭文社の地図によると、 上高地からのコースタイムは約10時間、 上高地への始発のバスは5:40。 6時半に上高地を発つと休憩なしで、午後4時半。 くたばったら夜になる。
遅くとも、午後5時までに山小屋に入らなければならない。 飛騨沢からもほぼ同様の時間。 上高地のように道路規制がないので、朝早く出かけば、 その分早く着ける。 ところが、最近は上りだけをを10時間も歩いたことがない、未体験のゾーンなのである。 歩き切れる自信は? 私の体力・脚力には不相応と思った。
しかも初日は天気がイマイチで雨中の登りとなる可能性が高い。 Nさんには、一般の山行書に書いてある通り、2泊3日にしてほしいと伝え、快諾していただきました。
最初の日の宿泊地が上高地からだと、槍沢ロッジ。 新穂高だと槍平山荘。 それぞれ4~5時間の距離です。 2泊目が山頂直下の槍ヶ岳山荘から山頂を往復しての山荘泊。 3日目に一気に下山の予定が一般的。 それぞれの小屋が槍ヶ岳までのほぼ中間点になっている。(泊まるにはチョット中途半端な場所) 更に2日目、3日目、日を重ねる程歩行時間が長くなっているのは なんとなく憂鬱である。#59123;
やはり、一気に槍ヶ岳山荘まで初日に行きたい。 調べてみると、#59122;#59122;#59122; なんと新穂高から日帰りで槍ヶ岳を往復する強脚の方がいる。 このブログを訪問した戴いている方の中でも、槍に日帰り登山を完遂された方もいらっしゃるでしょう。 また、それを目論んで虎視眈眈とトレーニングに励まれている方も。 (笑) マイカーであれば、新穂高の駐車場から早朝出かけられます。 よし、 新穂高から一気に槍の肩までチャレンジしてみようと、事前に駐車場の場所をWEBで確認。(チョット分りにくいようです。) Nさんにこのプランを伝えた。
そのあと、山の天気予報で槍ヶ岳と近辺をチェック。 初日はやはり☂の予報。 再度、・・・・・熟考してみた。 雨のなかを9~10時間も登りを歩くのは厳しい。 一日延ばす手もあったが、8月第一週末の小屋の混雑を避けたい というのはNさんも同じ意見で、予定通りの日程にした。
もう一つ、 槍ヶ岳山荘まで槍平小屋しかない雨中の飛騨沢を 延々と歩き、登り続けるのはなんとなく逃げ場がない感じであるのが気掛かりである。
飛騨沢に比べ、槍沢は山荘手前に殺生ヒュッテがあり、最悪 播隆窟もある(笑)。 人の往来が多い槍沢はこういったときは安心感がありそう。 Nさんと相談の上、結局定番の上高地から槍沢ロッジへ行き状況を判断、できればその日のうちに槍ヶ岳山荘を目指すことを最終決定し、 行程表を作成。
前夜に出発#58975;。 今回は、体力のあるNさんの車にお世話になりました。 沢渡大橋の駐車場で朝まで仮眠。 起床してみると雨#58944;。 雨支度でぐずぐずしていたら始発5:40のバスが出てしまったあと。#59123; 幸い、他の2名のかたと乗合タクシーでほぼ遅れなく上高地へ出発。 しかも、バスは一人1,200円なのに、タクシーは一人1,000円#59120;、 5時過ぎから営業しているようです。
先般の大雨で決壊した道路を補修中の現場を通り過ぎ、大正池から上高地へ到着。 雨は止んでいました。#58943; 登山届を提出し6:37上高地バスターミナルを出発。
今回は2泊3日の装備、ザックも30LのKarrimor。 いつもよりズッシリ思い。 出来るだけ軽量化の為、一眼と交換レンズは置いておく決断。 電池交換できるタフそうなコンデジSX130のみ。 これで、皆さんにお見せできるようなショットが撮れるのか、気掛かりであるが、ご容赦を。
ガスがかかってしまい、あの上高地の景色#59009;がみえない河童橋横を抜け明神へ。 明神で小休憩後、梓川沿いに、徳沢はノンストップで横尾へ向かいます。 横尾ではゆっくり30分の休憩。
左手の横尾大橋を行くと涸沢へ。 穂高へ続く道なのだ。 次はいつ来れるのかな? またここへ来たときは、あの橋を渡っていくのかな、 なんて想いながら、そのまま槍沢への道を進みます。(右手は蝶ヶ岳です。) 横尾までは多少のアップダウンはありますが、ほぼ平坦路です。 ここからが”登山道”です。
水流がきれいで心地よい槍沢沿いを、一ノ俣、二ノ俣の橋を通り、登りがはじまり、左手にロッジが現れました。
11:02槍沢ロッジに到着です。 丁度この時間帯は早朝に下山をされたかたと肩の山荘を目指す登山者が交差する時間帯のようです。 予定時刻よりも早く、快調とは云えないまでも、これなら何とか夕方までに山荘に入れそうだ。(と思いました。)
11:20ロッジを出発、ここから傾斜が出てきます。 ババ平に出ると槍沢が開けます。 沢の右手を進んでいくと東鎌尾根の水俣乗越に行く分岐、大曲りに出ます。 (*昭文社の地図では槍沢ロッジ~水俣乗越分岐までは1:40と書いてありますが、ほかの本には1:00となっています。 1:00が近いように感じました。)
このあたりから雨#58944;が降り出しました。 ザックカバーを付け、レインウエアを着ます。 沢には雪渓が多くなりジグザグの登り坂がキツクなる。 やがて、天狗平ジャンクションに到着、13時半近くです。 ここまではなんとかペースを保つことが出来ています。
雨#58944;は降り続き、晴れていればもうそろそろ槍が見えるグリーンバンドに上がりましたが、先はガス#58948;に覆われています。 次のポイントは播隆窟(坊主岩小屋)です。 ここからは低木草帯にはいり、お花畑がありますが、登りがきつくなり前へ脚を出す余裕しかありません。#59124; 前後する方々もペースはダウンしています。 唯一百名山ハンターのNさんだけは、余裕十分。 スモーカーの彼には、十分すぎるほど喫煙タイムを与えています。 (笑)
雪渓をトラバースし、岩石がゴロゴロとしたなかを進み、播隆窟(下の写真)を過ぎます。 そして次のポイント殺生ヒュッテ分岐へ。
殺生ヒュッテはガスで覆われて見えず。 岩に大きく進路(→ ○ ×)表示がわかり易く、よほどのことがない限り間違えません。 ヒュッテ分岐の標識。 早いなと思ったら下の分岐でガックリ! 上の分岐に着いたのは15時半過ぎ。 残りのコースタイムは40分。
Nさんは私に合わせて、喫煙タイムのようですが、振り返っても視界にありません。(私に十分な時間を与えてくれているのかなと思ったンですが。。。。。 気圧の関係でライターがつかず、必死に着火するために四苦八苦していたようです。 笑)
ここから肩の槍への急登のジグザグ道が続きます。 雨も止まないし、最後の厳しい登りです。 これが晴れていれば、槍も赤屋根の山荘も見えて頑張ろうという意欲も湧いてくるでしょう。 ガスって先がみえないので、どれだけ先なのかもわからずひたすら登るのは・・・・・#59124; ですが、もう少しです。
↑ 東鎌尾根からのルートとの合流点。 小屋からの声も聞こえます。 最後のひと登りで小屋のある稜線に出ました。#59120; 16:19です。 上高地から約9時間半余の長い登りでした。
早速チェックイン。 一列6名の定員であるが、3名のスペースに2名だったのでスペース的にはくつろげました。 二人とも、食欲はあまりなく、昼食の残りとおかずをつまみに#58994; で済ませ(Nさんは#58994;#58994;#58994;)、翌日の好天を願って床に就きました。
次回はあの槍の穂先への往復、攻略のヒント? (笑) をアップします。