先週の川苔山山行に、ある新兵器(オモチャ?)を試してみた。
山登りで一番重要なことは、無事・安全に帰還することである。
山登りの魅力にとりつかれる一方、リスクはつきもので、山の怖さも感じます。 低山と云えど危険は潜んでいます。 いつ、自分の身にふりかかってくるかもわからないのです。
山行には、ヘッドライト、雨具・防寒装備、予備食・水等の備えが不可欠であり、地図とコンパスで読図も求められます。 でも、初めてのコースで実際に地図を正確に読み取るのは、簡単ではないようです。 私も全く自信がありません。 GPSも必要なのかなと思っていました。
私の山行ミッションのなかの 「安全登山」 という項目は最重要です。 出来る限りの安全対策は心がけたいものです。
まず、不測の事態での通信手段です。 携帯電話は2年前にD社に変更。 山での通話・メールはそれまでと比べて劇的に改善しました。 奥深い山域では無理ですが、見通しが利く尾根や稜線ではかなりキャッチできます。 堅実なA社ですら、民家のある山麓でも通じないところがありました。 通じない携帯電話は電話でありません。
ホワイト犬のカイくん、山で迷わないでよ!
最近のスマートフォンブームで、GPS機能内蔵のスマホ*への切替を検討しましたが、最大のデメリットはそのコスト。 メールとi-modeで天気チェックぐらいしか使わない私にとっては、毎月の固定通信料が大幅にアップすること。 端末代金を含めたコスト計算しても2年間で一人あたり14万円くらいの余分な出費になる(しかも2年間は拘束される)。(←スマホは携帯電話会社に膨大な利益をもたらします。) うっかり契約しそうになりましたが、 無駄使いな出費となることに気づき踏みとどまる。 また、GarminのGPSは素晴らしいんですが、ソフトを含めて10万円もするので手が出ません。 (*注: いろいろ調べてわかりましたが、GPS内蔵携帯でも電波を早く取得する為に、ネットワークで衛星軌道情報を得ている機種の場合、圏外だとGPSが使えない機種があるそうです。 またGPS精度が悪いというクレームが多くあるようです。要注意)
折りしも、iPod nano が容量限度に近づいていましたので、iPod touch 4 を購入。 通信機能はありませんが、音楽以外に Wi-Fiでメールはチェックできますし、街中でもWi-Fiスポットが増えてきました。 i-PhoneはGPSが内蔵されているのですが、iPod touch にはGPSモジュールはついていません。
AmazonでGPSを探していたら、iPod touch をドッキング出来るGPSクレドールを発見。 #59120; Dualという米国ブランドですが、GPSレシーバーを内蔵し すっぽり iPod touch を収納できる。 別体でブルーツース転送するタイプのGPS レシーバーもありますが、このDualはiPodと一体化してバットマンスーツ風でカッコいい。 しかも手にピッタリのサイズと重さで、持ちやすい形状です。
4時間の充電で10時間GPSを作動させることが出来(謳い文句通りであれば)、しかもクレドールからiPod touchにも充電できる。 (裏側 ↓: GPS モードと充電モードの切替スイッチあり、ボタンでクレドール電池残量がLEDで確認できる。 イヤホンジャックと充電ミニUSBプラグ穴あり。)
カメラのレンズ部がクレドールで隠れて使えないのが難点ですが、液晶画面側のカメラは使えます。(いっそカメラ穴を作ってしまおうかと思いましたが、内部に基盤や電池があるかもしれないのでやめました。) そして、 並行輸入品ですので、日本語のマニュアルはありません。(但し価格はその分安い。 一番安い価格帯はiPod4に対応していないので要注意です) そして気になるのは精度。
通信機能が無いので、早速オフラインでも見れるMapfanをダウンロード。 家の周りを歩いてテストしてみました。 最初はなかなかGPSの電波を受信できませんでしたが、レシーバーの部分が上になるように角度をかえたら、受信開始。 公園を周回しましたが、誤差は5M程度。 動いているときは誤差が大きくなるが、そのまま真っすぐに歩いていると誤差は縮まります。
動作確認出来たので、山地図用の DIY GPS というアプリと、データ共有のアプリ Dropboxをダウンロードし、PCにも Dropbox をダウンロード。
チョット面倒だが、カシミール3D上で使いたい地図を切り取り、PC上のDropboxに新規保存。 iPod touch で Dropbox に入った地図データを DIY GPS で開けば 地図がみれてGPSも使えます。
また、使える地図は、カシミール3Dにインストールされた地図だけでなく、 昭文社の”山と高原”地図もスキャンして取り込めます。 取り込むときに座標固定をしなければなりませんが、見慣れたコースタイムと注意書きされた地図を読み込めます。 フリーのカシミール3Dがあれば専用地図ソフトは要りません、 経度・緯度線が入った地図であればどんな地図でも使えます。
また、歩いたルートのログが取れます。 記録されたログをカシミール3Dで開けばルートが地図に取り込まれます。 以上、DIY GPS の活用方法は http://diygps.net/ に掲載されています。
大丹波ルートは、初めてなので テストには丁度いい。 iPod + GPS は手持ちのポーチに入れ、ショルダーベルトに取付。 上日向でGPSを立ち上げ、奥茶屋よりログ記録を開始。 都度自分がいる位置と通過したラインがルート上にあるのかチェックしてみた。
自分のいる位置はほぼ正確。 行動中は現在地を示すマーカーがフラフラと揺れているが、静止状態で受信すると安定的に位置を示す。 障害物のないところでの誤差は5M程度以内と推定。 個体差もあるかもしれませんが、これは使えます。
ログをとったルートですが、以下のとおり。 マクロに見るとほぼルートと重なっていますが、拡大してみると、ところどころずれてます。(青線が録れたログの軌跡です。) 特に鳩ノ巣への木に覆われた下りのルートは誤差が出てズレています。
記録されたログをみると、ログが録られた時間とインターバルがバラバラ。 GPS信号は30秒から数分おきに発信される、その間に受信できない状況であるならばログが脱落して、曲がり角の軌跡も直線のショートカットになってしまう。 そんな箇所がかなりある。 山の斜面や谷では受信しにくいらしいし、誤差がでるようです。
その点では、リアルタイムの位置が地図上で確認出来ることは心強い。
携帯電話がもたない厳しい気象条件ならともかく、無雪期の山ならある程度は使えそうです。 画面も大きくて綺麗で見やすい。 ザックからいちいち地図を取り出す必要もない。 拡大縮小も出来、広域も見れる。 データも保存閲覧出来る。 しかも、ミュージックプレーヤーとしても楽しめ、場所は限られますがWi-Fiでメールはチェックでき、Webやアプリも使えます。
ログのインターバルは距離で録った方がいいのか、時間で録った方がいいのか? インターバルを狭めると、バッテリーが喰うであろうし・・・
ともかく、余分な通信コストを払わずに、i-Phone のGPS機能を手に入れたわけです。
(↑ 北岳~間ノ岳の地図も取り込んでみました。)
気掛かりなのは、耐久性とバッテリーの持ち具合。 耐久性に関しては、所詮 iPodは携帯端末程度と考えるしかない。 バッテリーは前日にiPod, GPSクレドールともフル充電して、 GPSをバックグラウンドでの動作にしておけば、ほぼ一日の山行は持ちそうです。 iPodの電池残量表示は7割程度。 (Wi-Fiをオフし、液晶の輝度を落とし、スリープモードは1分にした。 後から気がついたが、他のアプリが10個近く裏で立ち上がっていた。) あとはバックアップ用の充電池をもっていくか、電源がある山小屋で充電するしかない。(2~3日の山行時は、必要な時にのみONして、ログはとらないと割り切る。) GPSキットには車載用のクレドールと電源ソケットが付属しているが、車内では充電だけで十分でしょう。
過度の期待を抱かず購入したのですが、思ったより役に立ちそうです。
今回の試用の感想はあくまでも、個人的なものとご理解ください。 またGPSの精度も個体差があるようですのでご注意を。
* 2012年11月追記: 最近のiOS6へのアップグレードでGPS機能の問題が生じています。→ http://jetstream777.blog.so-net.ne.jp/2012-10-16 参照ください。 iOSに起因するもんだいのようですので、根本的に解決していません。 ご注意を!