前回の記事でも述べましたが、 敢えて登ろうという強いモチベーションはありませんでした。
夏場に雪のない富士山を麓から見ると溶岩石の山。 樹木もなく焼け焦げそう。
一方、 標高の高さによる気候の厳しさ・危険度では、夏場を外すのはリスクである。
その夏場2ヶ月の登山者数は年々急増しなんと平成22年には30万人を突破。
登山者で大混雑の様相を呈している。 山ノボラーとしては敬遠したくなる。
というわけで、山登りを再開して3年経った今迄 未踏の富士を先送りしてきたのである。
6月に富士の再噴火の可能性を示唆したTV番組
を見て以来、
なんとなく・・・ いや、スゴク気になっていたのである。
また、登山口まで車で3時間以内に行ける
意外に身近な山。
なんだかんだと云ったって、
一度は登っておかなければならない? 山ではある。
屈折した気持ちの中、(笑) やはり登ってみようと翻意。 マイカー通行規制が開始される当日の駆け込み登山を決めたのである。
富士スカイラインの登山区間が閉鎖になる17時前にゲートを通過するために、午後出発。
ゲートは16時前に通過できたものの、最終地点から4KM以上前から渋滞。
駐車場はすでに満杯で、カーブ以外の下り車線のみに路肩駐車可能。
結局、駐車出来た地点は、最終地点より1.4KM下ったところ。
オリンピック開会式があるから、混んでいないだろうという楽観的予想は吹っ飛んだ。
車内で仮眠をし、夕食はうどんで軽く済ました。 23時に駐車場を出発。
登山口まで30分の歩き。 いつもより重い奥多摩用冬装備で重い。
しかも、 ヘッドライトを点けて登るのは初めてである。
登山口を23時半通過、
6合目、
7合目を順調に通過。
登山道にはヘッドライトの灯りが続く。
8合目手前で急登になるが、ほぼ予定通り
8合目に2時半に到着。
標高3,250M。 高度のせいか?、睡眠不十分なのか? 体が重く感じる。
高山病の感じではないが、無理はせず、ここで休むことにした。
小屋の軒下のベンチで仮眠。 フリース、ダウン、ジャケットを重ね着しないと寒さは凌げない。
8合目も御来光拝観ポイント、 早朝には小屋の前は人だかりとなった。
満足に休むことは出来ないが、2時間ほど体を休めることは出来た。
(高山病ではなかったようである。 高山病に罹ったら、下山するしかないのである。)
5時に8合目を出発。 東の稜線からのぼるご来光と雪渓を見ながら9合目へ。
9合目の小屋、 そして頂上の外輪山が彼方に見えます。
急登が続き
9合目万年雪山荘に到着。
5:50 山荘横の鳥居をくぐって
9号5勺へ向かう。
9.5合目6:30。 ”胸突山荘”なんて 嫌な名前の小屋があります。
小休憩し6:50に出発。 登山道が狭まり、上に行くほど詰まって渋滞。
しかも急登でバテテ道を塞いでいる登山者の方もいる。
さらに頂上でご来光を拝んだ折り返し下山者と入れ違いに登ることになる。
登り優先が基本なのだが、ここはお構いなしに下りてくる。 ここはルールのない無法地帯。
頂上外輪山奥宮に着いたのは結局8時前になってしまった。
火口(お鉢)稜線で小休憩したあと、 最高地点剣ヶ峰へ。
ここも渋滞と行列で、待ち時間30分。
いっそのこと同じ標を3本くらい作っておけば1/3に短縮出来るのに。 (笑)
結局、
日本最高地点の剣ヶ峰の標へは8:58。
やっとたどり着きました 富士山 NO.48。
火口を覗くと、中には雪が残っています。 まだ、おとなしく休んでくれているようです。 \(^o^)/。
奥宮の西のコノシロ池の広場(4枚目上の写真の場所)に戻り、休憩。 風もなく、穏かです。
奥宮に参脂して
銀水明へ。
10時15分、富士宮口の渋滞を避け、
御殿場ルートを下ります。
距離はずっと長くなりますが このルートを7合目まで下ります。
ここから下り用の
砂走りで、下り6合目へ。
この砂の下りをどんどん下りてゆくしかありません。
リズミカルに砂に深く潜らず飛んでいきます。
御殿場ルート・砂走りから分かれて、
宝永山馬の背に向かいます。
このあたりは比較的静かな歩きが出来ます。
宝永山の火口側をトラバース気味に下る。
このあたりが
”富士山らしい” ベストポイントで、
一番危険なルート?(笑)
丁度このあたりが、あの番組で噴火を生々しく再現していたポイントのようです。
第一火口で休憩し、
第一火口分岐へ登り返す。
さらにトラバースして
富士宮ルート6合目に合流。
ここから下りも登りも渋滞。
5合目登山口には13時15分到着。
こうして無事に富士登山が終わりました。
ハイマツすらもない溶岩の登山道は心地よいとは云えない。
標高も高く、荒涼とした急登の登山道は癒しもなく、結構キツイ コース。
離れて眺める富士とはまったく別世界の富士なのである。
***宝永第一火口の北斜面***混雑しなければ、まだそれなりの山歩きを楽しめる? かもしれないが・・・・・
富士登山について、江戸時代から 「一度も登らぬ馬鹿、二度登る馬鹿」 という言葉がある。
これは富士登山の厳しさを表した言葉のようである。
私も もう一度登ってみたいとは思わない。 厳しさというより楽しさに欠けるのである。
これが下山後の実感。 (笑)
それでも、私が富士に抱いていた思いは少しも変わらない。富士山を登る、山歩きするという対象でみていなかったからである。
富士の優美な風貌。 眺めるとほんとうに美しい。
他の山に登っても、富士はどこなんだろうと無意識に探し、眺める。
海外からの帰途にも、 日本上空の機上から 今日は富士がみえるかなと 窓から探していました。
そして、富士を見ると、いつも幸せな気持ちになり ホット癒される。
こんな山はほかにないと思います。
他の山から富士を見るたびに、今回の山行を思い出すでしょう。
時代を超え、国境を越えて日本のシンボルである続けたフジヤマ。
日本人が 桜とともに 心のよりどころとしてきた富士。
日本人の美意識の原点なのでしょうか?
***上の写真は 昨夏北岳肩の小屋から撮った早朝の富士です。***やっぱり、富士は眺める山なのである。 そしてまさに The JAPAN なのである。そんな山のピークを一度は踏んでみるのもいいかも・・・ と思った山ノボラーは私だけではあるまい。