今 願望から現実のものになろうとしている。
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木曽御嶽の噴火で不幸にしてお亡くなりになった方々のご冥福を心からお祈りします。
また被災された皆さまの一日も早い回復を心からお祈りします。
同じ山を愛するものとして痛恨の思いです。
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前日幌尻岳に登頂された方から、 同日に下山するなら4時半過ぎには出発した方がよいとアドバイスあり。
「そうですね。 山荘への帰着時間と体調を考えて決めます。」
幌尻岳往復に7時間、 山荘からシャトルバス停まで約4~5時間、 計11~12時間。
バスの出発は17時。 逆算するとそうなるのだろう。 山荘には12時頃に戻ることが目安となる。
朝4時過ぎに目が覚めた。 まだ暗く寒い。 シュラーフから出る気にはならない。
徐々に明るくなるが、 好天が望めそうもない空模様。
5時過ぎに起床、 11時のバスで下りる他の7名は山荘前で下山準備。
私はタイツに直接レイン用ズボンをはいて雨天即応。 念のため、ズボンとフリース、レインジャケットをサブザックに入れる。 GPSをスイッチオンして、機能しているかを確認した。 +クマ鈴。
下山の皆さんに挨拶を交わし、 5時半過ぎに山荘を出発。
今日もひとりだ、ちょっと心細いが・・・
山荘の南からいきなりジグザグの急登が40~50分ほど続く。
その後東に向かう緩斜面を進むあたりから生臭いケモノの臭い、登山道に沿ってムンムンと漂っている。
クマの臭いだ! 強烈! #59122;
多分、クマが辿ったのは30分以内だろう。 窪んだところは酷い動物臭。
これが 気になっていたことだ。 山荘から北カール沿いへの稜線に出没することがあるとのレポを見た。
この登山道だ。 この強烈さはヒグマだろう。
サブザックに着けた北海道バージョンの2鈴を、ストックの紐につけかえる。
一気に鳴りがアップ。 これなら響きわたるだろう。 とにかく遭遇しないことを祈るしかない。
*追記: 山荘から稜線まではよくクマが出没するとのこと。 この部分要警戒。
強烈な異臭は、命の泉(水場)までずっと続く。
水場に下りたらクマがいないとも限らない。
こんな気持ちの悪い異臭は初めてで 忘れられない。
休憩どころではない。
食事なんてしてたら なおさら危険である。
(臭いのする食料は持たない方がいいかもしれません。 私はサプリメントとお菓子のみ)
命の泉は戸蔦別岳~幌尻岳が展望できるビューポイントだが、
そのまま尾根に出るまで一気に登り続ける。 #59124;
風が抜ける尾根になったら臭いは薄らぐが、 空気の淀むところでは臭いが漂っている。
ストックをついて 鈴を揺らし音を響かせ続ける。
北カールを見下ろす稜線にでると、 低木帯で見透しが利き 一息つく。
カールの下部には水場もあり、 クマがうろうろしていそうだ。
幌尻岳が目の前に現れた。 でっかい!
ポロシリとはアイヌ語で大きな山を意味するとのことです。
馬蹄形となった北カールの縁の稜線を左手に回り込むように登っていけば山頂だ。
稜線がガスってきた。 北の石狩山地の峰々も霞んできた。
▲1,829Mのピークの手前から風を伴った雨が叩きつける。
稜線に上がった時に、レインジャケットを風よけに着けたので慌てることはない。
ガスって遠方の視界はないが、 幅の狭い稜線が続くので方向は明瞭である。
▲1,930Mピークでは、さらに風#58947;雨#58944;が強まる。 岩陰で凌ぎながら進む。
やがて新冠ルートとの分岐点にでる。
ネズミのレポを見なければ、直前まで新冠(イドンナップ山荘)から登ろうと思っていたルートとの分岐だ。
ここから山頂まで、もうすぐのはず。 雨は霧状に変わっていくが風は収まらない。
09:28 幌尻岳山頂2,052Mに到着。 残念ながら展望はない。
でも、念願の山に誰の手も借りず ひとりで登り 山頂に立つことが出来た。
今までおぼろな夢が 現実に変わった。
デジカメHX10Vが水没し、まともな写真が撮れなくて残念。 と同時にご容赦願います。
ミュージックプレイヤーとして使っている古いi-Podには広角もなく、↑ 自分撮りも出来ず。#59123;
※やむなく カメラ機能が低レベルの数世代前のi-Podで撮ってあります。 低画素数の上に曇天で暗く粗い画像。 #59123; 携帯電話のカメラは電池消耗を防ぐため使いませんでした。
まだ風はおさまりそうにないので下山開始。 09:40
▲1,930Mピークから風はやや弱くなるが雨が降り続く。
命の泉に下る登山道では、またクマの臭いが戻ってきたが、 臭いはかなり薄らいでいた。
命の泉では、朝3:00発一番バスで登ってきたという大学生4名に出会う。
まだ臭うので、クマ鈴をつけた方がいいよとアドバイス、 直ぐに付けていました。
4人だったら熊と戦えるのかな。 (笑)
下りもクマ鈴の鳴りを絶やさない。 油断はならぬ。
山荘へは12:10頃到着。 ホットしました。#59120;
時間的には、17時のバスに間に合わないこともありませんが、雨もいっこうに止む気配もない。 重いザックを背負った下りの渡渉を考えて 下山は翌朝とし 予定通りもう一泊することにしました。
追記*川の水量も増し、流れも強く危険でした。 この日は小屋に上がってくる登山者はゼロ。
午後には命の泉で出会った学生が小屋に戻ってきました。
朝8:30発のバスで下りるようですので彼らは1階、 私は一人で2階を占有。
彼らは関西の大学の探検部、北海道の百名山巡りの最中とのこと。
なにもすることはありませんが久しぶりにのんびりとした山小屋滞在となりました。
9月17日: #58943;
翌朝は6時前(5:50)に小屋を出発。 とにかく登りの二の舞はさけるよう慎重に渡渉。
(ことさら浅い場所をえらんで渡渉するよりも、幾分深くても安定した場所、水流が弱い場所を選んで渡渉したほうが確実に渡れる・・・・ ということを学びました。)
それでも、 予定より早く北電取水施設まで下りることが出来ました。
取水施設からは林道なので、そのまま沢靴で下ってしまいました。(前日の雨中の歩きで登山靴は湿ったまま。)
バス乗り場には9:25と予定より大幅に早く到着。 山荘から3:35でした。
待合所のプレハブでお茶を沸かしていたら 雨が降り出しました。 降られなくてラッキーでした。
プレハブのシャトルバス待合室には、シート、 毛布、 寝袋、 ガスボンベが置いてあります。
最終バスに乗り遅れた登山者がビバークできるようになっています。 意外に快適そう?
10時半前に10名ほどの登山者を載せたシャトルバスが到着。
雨なんで、 登山者がプレハブに駆け込んできました。
聞いてみたら千歳集合の個人ツアーのようです。 ガイド〇〇〇なるツアーの主催。
(荷物の重さに不安のある方は5KGまで 一日5千円というポーターサービスがあるようです。)
なるほど、 こんなツアーがあったのか。 大手ツアー会社でも、食事は主催者側が手配するようで、その分の荷物は軽減されます。 こういったサービスをどう見るかはそれぞれの判断です。
幌尻岳を最後に残してしまう百名山ハンターも結構いると聞きます、 そんな方には救いの手になるでしょう。
私は まだ頑張れるうちは、自分ひとりのガンバリと創意工夫で踏破したいと思います。
バスの運転手、幌尻山荘、とよぬか山荘の間ではトランシーバーで相互連絡を取っており、 乗客を積み残さないようチェックはしているようです。 他ルートからの突然の乗客のたまにあるようですので、一応出発時間までバスは待機しています。 帰りも乗客は私ひとりでした。
※これ以降の写真は車に置いてあったMX-1で撮影
バスは予定通り11時に出発、 12時前にとよぬか山荘に到着。
これで幌尻岳登頂は完了。#59120;
幌尻岳登頂記念に ピンバッジ、 タオル、 Tシャツをゲット。
百名山完全制覇は願望に留まっていた。 幌尻岳がクリア出来ない限り・・・・
幌尻岳を登り終えた今、 もう少し もう少し頑張れば夢が現実になる。
私にとっては感慨深い山行のひとつになりました。
そして、
幌尻岳を登り終えて・・・ 正直ほっとした気分、 もう登らなくてもいい。 (笑)
天候がよかったらもう一度登ってもいい・・・ というミックスアップした気分です。
もし もう一度登れと云われたら、 次は間違いなく新冠から登ります。
沢靴の代わりに、ツェルトを持参して。