前回は百名山制覇への歩みを綴りましたが、 いよいよ今回のテーマの主旨です。
なぜ、どうして百名山をすべて登れたのか?
*水晶岳ワリモ乗越から
百名山を登るには? 何が必要なのか?
百名山完登は易しくはありませんが、決して登れないことはありません。
私はいくつ登れるのだろうか? 難関の山は? という疑問にお答えしたいとおもいます。
前回は百名山制覇への歩みを綴りましたが、 いよいよ今回のテーマの主旨です。
なぜ、どうして百名山をすべて登れたのか?
*水晶岳ワリモ乗越から
百名山を登るには? 何が必要なのか?
百名山完登は易しくはありませんが、決して登れないことはありません。
私はいくつ登れるのだろうか? 難関の山は? という疑問にお答えしたいとおもいます。
ここからが、このテーマの主旨です。 なぜ、どうして百名山すべて登れたのか?
運動もスポーツも定年間際までまともにやってなかった、どちらか云うと草食系タイプの私でも百名山を踏破できたということは私自身でも驚きです。 不摂生が祟ったのか持病も抱え、膝痛、ヘルニアという爆弾もあります。 しかも本格的に登りだしたのは還暦を迎えてからです。 心肺機能も多分人並みか以下、腕力も持久力も不足。
皆様から時折健脚だと誤った過分なコメント戴きますが(笑)、私の記事のコースタイムを見ていただければお分かりだと思いますがほぼ地図やガイドブックに記載されている標準コースタイム程度の脚力です。 上りはコースタイムについていくのが精いっぱい、急登では遅れます。 下りで若干稼いで トータルではほぼコースタイム。 山登りをしていらっしゃる方の大半はコースタイムかそれ以下だと思います。
そんな並みの登山者である私がどうして日本百名山を全部制覇できたのか。
自分の体力・脚力を判断し、ルートを決め、コースタイムを計算、登山時期の日の出、日の入り時間を把握してタイムスケジュールを立てておく、 装備を取捨選択する。 これが山登りの基本だと思います。 そうすれば、私のような普通の脚力でも登れます。
つまり己を知り相手=山を知ることです。 山をいくつか歩いてみて標準のコースタイムと自分のコースタイムを比較し自分の脚力・レベルを見極めること。 標準のコースタイムよリ2割早く登れるなら標準コースタイム×0.8、2割余分にかかるならX1.2で 登る山での自分のコースタイムを想定すればよいのです。
予定通りうまく行った場合と最悪の場合のリスクを含めて、日程とタイムスケジュールをうまくマネージメントできるか。 あたりまえの基本ですが、これが一番重要ではないかと思います。
まず、登山口までの交通手段。 百名山は全国に点在、いや偏在しているといっていいでしょう。 その登山口までたどり着くこと。 交通機関を使う手段もありますが・・・
機動的な山登りに欠かせないのはマイカーです。 私の場合はハイオクで燃費の良くないドイツの小型大衆車からプリウスに乗り換えました。 燃費は抜群で、遠出しても懐に優しいんで気軽に出かけられます。 遠征時、北海道や九州でも空港でレンタカーしました。 クルマならば、時間に縛られることはありません。行先の変更も臨機応変に出来ます。
マイカーならば、関東近辺、八ケ岳といった中信地域、上州、上越国境あたりまでなら早朝に出かければ朝7時頃までには登山口に着きます。 信濃方面なら赤岳、蓼科山、浅間山 上越なら巻機山、谷川岳 日光方面なら那須岳までなら日帰りできます。
マイカー日帰り登山で登れる百名山はいくつあるの?
”首都圏在住の方”ならマイカーで朝早出すれば百名山26座は日帰り登山は可能です。
*巻機山
これらの26座は週末登山は可能です。 その中では、やや難関の山★★は巻機山、苗場山、武尊山、赤岳、甲武信ヶ岳、浅間山、雲取山くらいです。 皇海山は庚申山・鋸11峰越えだと★★★、庚申山荘で前泊要。 これらの山はコースタイムがやや長いんですが岩場もあまりありません。 どの山も楽ではありませんが、それほど難しくはありません。
元気で壮健な方なら、マイカーで朝早出してその日のうちに登って帰宅出来るでしょう。 私は車の運転が好きなほうですが、歳を重ねるにつれて体力は落ちていくし、朝早出もつらくなります。 睡眠不足で高速道路を運転するのはリスクがあります。 数年前からは、できるだけ前夜半までに登山口に着いて翌朝に登山開始というパターンにしています。 より快適に寝れるように車中泊のインフラをある程度整備すればよく眠れます、山小屋より圧倒的に快適です。(笑) また、昨年からはクルーザー付の車に乗り換え高速道路での運転が楽になりました。 とにかく登る前に消耗しない、体力温存が肝心です。
更に首都圏から前日マイカーで出かけてその日の夜までに登山口に着ける範囲の山で、翌日登山口から日帰りで往復できる山は28座ほどあります。 うち10座は下山した日に帰宅できます。残り18座はタフなドライバーなら帰宅できますが、途中1泊をお奨めします。
つまり3日間の連休があれば、登れる山は更に+28座広がります。 合わせて54座登れます。
北海道、東北、西日本、九州といった関東からの遠隔地の百名山で、登山口から日帰りできる山は22座あります。
合わせると、「登山口」から日帰りで登頂して下山出来る山は76座あります。
山小屋泊しなければならない百名山はいくつあるのか?
登山口から日帰りした山でキツかったのは、トムラウシ山(短縮登山口から12時間)、平ヶ岳(12時間)。 山小屋はありません。 北海道の利尻山(10時間)も避難小屋はビバークでしか使えませんので日帰りが条件です。 大朝日岳、越後駒ヶ岳と空木岳は避難小屋ですのでマット、寝袋、自炊装備が要ります。 キツイけど日帰りしたほうがよさそうです。 火打山は妙高とセットで山小屋泊にした方がいいでしょう。
また、百名山というと多くの山は「山小屋」に泊まらなければならないという印象を受けるかもしれませんが、そうではありません。
標準のコースタイムで歩ける方なら山小屋泊はせいぜい30座くらいと思います。
私の場合は山小屋泊りの回数は26座で27回です。 ほとんどが日本アルプスです。 そのうち山小屋連泊(2泊)はわずか4回のみ。 ・・・ 幌尻岳(幌尻山荘2連泊)、鷲羽岳(双六小屋)・水晶岳(三俣山荘)、悪沢岳(千枚小屋)・赤石岳(頂上避難小屋:営業中)、光岳(光小屋)・聖岳(聖平小屋)。 あと連泊した方が楽な山は槍ヶ岳、奥穂高岳。 登山口からもっとも最奥にあると云われる黒部五郎岳は黒部五郎小舎で一泊とかなりキツイ行程でしたが、これも鷲羽、水晶を組み合わせれば3泊。 でも、私は山小屋2泊以上はしたことがありません。 幌尻岳と飯豊山への途上にある山小屋では食事、寝具がありません。 その分装備に負荷がかりますがこの2座は避けて通れないし、難関の山でもあります。
いくつ登れる? 百名山 | 座数 | ① 日帰り登山 | ② 登山口前泊 +日帰り帰宅 (日帰り圏) | ③ 登山口前泊 +日帰り登山 (長距離) | ④ 登山口から 日帰り登山 (遠隔地) | ⑤ 山小屋泊 | 特記事項 |
1日 | 2日 | 3日 | |||||
北海道 | 9 | 8 | 1* | 幌尻山荘 | |||
東北 | 14 | 13 | 1* | 飯豊山 | |||
上越・頚城 | 7 | 3 | 4 | 2* | 越後駒・平ヶ岳 | ||
尾瀬・上州 | 9 | 8 | 1* | 燧ケ岳 | |||
奥秩父・関東 | 10 | 9 | 1* | 富士山 | |||
中信 | 7 | 6 | 1* | 御嶽 | |||
北アルプス | 15 | 2* | 1立山 | 12 | 焼岳・乗鞍 | ||
南アルプス | 10 | 10 | |||||
中央アルプス | 3 | 1 | 2* | 空木岳・恵那山 | |||
北陸・関西 | 5 | 5 | |||||
中国・四国 | 3 | 3 | |||||
九州 | 6 | 6 | |||||
百名山計 | 100 | 26 | 10 | 18 | 22 | 24 |
まとめてみますと、マイカーをお持ちで首都圏在住の方で地図に記載されている標準のコースタイムでなんとか歩けることができるなら:
1) 週末登山で26座、 三連休あれば+28座 あわせて54座は登れます。 百名山の半分以上登れます。 しかも山小屋は泊まらなくともよい。(登山口での車中泊か登山口近くの宿の宿泊する場合はあります。)
2) 北海道9座、九州6座、中国・四国3座、計18座。 この地域へ出かけるのは長期連休や休暇が必要でしょう。 これらを除けば82座。 (18座のうち北海道の幌尻とトムラウシをのぞく16座は、極端に言えば時間とお金をかければ登れます。)
3) ということはちょっと頑張れば、70~73座は手に届く範囲だろうと云えます。
4) 北海道、九州、中国四国へ出かけられれば、登れる山は86~89座になります。
5) 残る難しい山は多分8座~15座くらいでしょう。
これは首都圏在住の方のシュミレーションですが、それぞれお住まいの地域で同様にシュミレーションしていただければ、登山口までの難易度?も明確になります。 上記の③が多くなれば時間も、コストもかかります。 時間の許す方はできるだけまとめて3座くらい登られるのが手かと思います。 遠隔地はまとめて登ることをお奨めします。
*平ヶ岳山頂
あとは難関の山をどう攻略するか。 前述したように、私の場合でもいくつかの山は登ることが出来ないんじゃないかと思いました。 まずは、何が難関なのかということをガイドブックやネットで調べておくことです。 長いコースタイムなら山小屋に泊まればいい、テント泊をする。 剣の岩場が不安ならカラビナを使えば安心感が増します。
北海道では幌尻岳、トムラウシ山、利尻山。 東北では飯豊山。 上越では平ヶ岳、庚申山経由の皇海山*。 北アルプスでは剣岳、槍ヶ岳、奥穂高岳、水晶岳、黒部五郎岳。 中央アルプスの空木岳。 南アルプスでは聖岳*。 四国の石鎚山・天狗岳(鎖ルート)*。 屋久島の宮之浦岳。 (*はルートを変えれば難度は下がります。)
天気が良ければ何でもないコースですが、厳しかったのは初冠雪の十勝岳。 利尻山やトムラウシ山等の北海道の百名山は烈風、気温が急降下するんで登山シーズンでも要注意です。 山登りは安全第一、私は臆病なほうかもしれませんが。
*幌尻岳・額平川の遡行
難関のなかでも私にとって最大の難関は北海道日高の幌尻岳でした。 テント泊の縦走に慣れている方ならともかく、寝袋、マット、自炊具と6食分、渡渉用の沢靴と冬ウエアで普段背負ったことのない重いザックでの山行。 行く手は数十回に及ぶ渡渉。 小屋手前でバランスを崩して水没、 熊の獣臭におびえながら稜線へ、さらに悪天候下を山頂へ向かった。 増水した帰路の渡渉、長い林道歩き・・ 最難関の百名山と云われる所以を実感しました。 (ここはガイド付きツアーでも参加されれば渡渉時やクマ出没可能性のある登りは心強いかもしれません。)
でも、百名山に限っては、並みの登山者にとって登れないという山はないというのが私の結論です。
Ⅱで切り上げるつもりでしたが、冗長な記事になってしまって申し訳ありません。 最後に禁断のテーマ、偽らざる本音はⅢの最終章に続きます。 コメント欄オープンさせていただきます。