百名山(一般登山道なら)に限っては、並みの登山者にとって登れないという山はないというのが私の結論です。
立ちはだかるのはお天気(と火山規制)でしょう。 自然のなせる不可抗力と思いがちですが・・・・
幸い私の百名山登頂の晴天率は多分抜群だと思います。 天候で撤退して登りなおした百名山は、たぶん鳥海山と武尊山の2座のみです。
*笠ヶ岳山頂でご来光を待つ
運が良い面もあるかもしれませんが、天気が悪ければ出かけません。 これが高い晴天率の秘訣です。 問題は北海道、東北、西日本、九州等への遠征です。 一発勝負です。 出来るだけ気象庁の過去5年のデータと長期予報(日本は10日間までですので海外のサイトで中期の予報を見ます)を参考に予定を組み、往復航空券を予約してます。 北海道や九州の宿は事前予約はしません。 現地でネットをチェックして直前割予約の宿をサーチします。
ところがここ数年異常気象により天気予報が外れる場合が多く信頼度が低くなっているので、私の山登りの晴天率も低下しています。 特に向こう1週間~10日先の天気は当にならないんで困りますが・・・・
直前の天気予報を調べて、天気予報に合わせて登る順を決めることにしています。 二回目の北海道道東山行では、初日にトムラウシ、翌日に雌阿寒岳を予定していましたが、初日の東大雪地方の天気が曇り時々雨、阿寒地方が曇り。翌日の天気は東大雪地方が晴れ時々曇りでした。 急遽予定を変更して初日に雌阿寒岳、翌日にトムラウシ山にしました。 難関のトムラウシは最初にクリアして一筆書きで旅程をこなしたいでしょうが、天気には勝てません。(初日に登っていたら雨でした、途中撤退された方もいました。) 変更は正解でした。
百名山制覇は自分の思うように、プラン通りにはいかないということです。
*奥穂高岳山頂からの槍ヶ岳
リスクは冒せませんが遠隔地の山は悪天候で途中撤退とならない様 確率的に好天時期を選んでおく、旅程に固執せず思い切って「天気に合わせて予定を立てる、変われば変える」という発想の転換です。 これが一度で登る秘訣です。 天気が良くないなら見送るしかありません。
それでも、うまくいかない場合があります。 あとは運と天に任せるしかありません。 潔く撤退、楽しみが残ったと思いましょう。
無事これ名馬、私は迷馬ですが。 素人ほどGPSを携行されることをお奨めします。 最近はスマホのアプリがあるからそれでもいいでしょう。 ただし、バッテリーは予備携行のこと。 そして、怪我をしないこと。 擦り傷なんかは茶飯事ですが幸い大事に至らず。 滑落もありません。 唯一の怪我は火打山の下りで捻挫、それに懲りてハイカットの靴に変更、下山時はことさら注意するようになりました。 そして、私は臆病です。 岩場では手脚の置き所が見つかるまでは進みません。 腰に持病と右膝に爆弾を抱えてますが、大過なく百名山完登が出来ました。 とにかく老獪さで負担をかけないような歩き方をしていきたいと思います。
ひとこと: よく「山は逃げない」と云われますが、その言葉は健荘な方にあてはまるでしょうが、シニアの私には歳を重ねるごとに「山は遠ざかっていく」のです。 これも悲しいかな現実です。 三浦雄一郎さんは超例外、一般的にはピークハンティングは60代で終わりです。 私も「山登り」ではなく、山旅、山歩きにを楽しみをシフト行ければと願っています。
*黒部五郎岳山頂と笠ヶ岳
そして山へ出かけるタイミング。 チャンスがあれば思い切ってサッと出かける。 決断’です。 友人と、山仲間と登る場合はスケジュールを固定して登らなければなりません。 往々にして、悪天候で途中撤退、取りやめになりがちです。 私の場合、仲間と登ろうとした時の晴天率は半分以下です。 予定を断念した場合もあるし、鳥海山まで行って宿で前泊し、翌朝雨で登山口駐車場から東京に戻りました。#59123; タイミングが合えばいいんですが、基本的には一人で登る(単独行)という覚悟でないと何時までたっても百にたどり着かないということになりかねません。 今週末の天気予報が晴れで、ほかに予定がないならサッと出かけることです。
ようは、マイペース=自分ひとりでプランを立てて出かける。 前述したことと一見逆説のように見えますが・・
他人の都合に合わせていては「他力本願」となり制覇できません、ある意味では「エゴイスティック」なところがあります。 だから山を登られている方のなかに単独行の方が多いというのは肯けます。 もちろん、気のあった山仲間との山行も楽しいんですが、百名山制覇となると「自力本願」です。 単独行の山歩きにあるものは寂しさ・孤独、でもそれ以上の自由と解放感。#59120;
百名山を登るのに特別な能力も秘策も要りません。
必要なのは登るという意思。そして執念。(笑)
*参考までですが、サイドバーにある私の人気記事ランキングに難関の平ヶ岳、幌尻岳の記事があります。もしかしたら攻略のヒントがあるかもしれません。
そして時間。 これが普通の方の最大のハードルでしょう。 会社勤めの方、リタイアされたシニアの方、いろんな事情で長期に外に出られない方もいらっしゃるでしょう。 密かに百名山をと願っている方でも、制約があれば断念せざるを得ないでしょう。 若い方、まだ壮年の方は何年にもわたって時間をかけてすこしずつでも登っていけます。
まだ半勤半休の私も週末、連休と休暇を活用するしかありません。 北海道(2回)や九州(2回)への遠征はいずれも航空機で出かけ、現地ではレンタカーで移動しました。 マイカーだと往復に時間がかかり過ぎます。
スランプの克服。 首都圏の方の場合、週末登山で可能な百名山で40座くらい登ったころに第一のスランプ。 域外に飛び出さなければ登る山はなくなります。 そして第二のスランプは70座くらい登った時点を過ぎると難関の山や、遠距離の山が多く残ります。 何を隠そう、私もそうでした。 そんな方が結構多いと思います。 まさに百迷山です。 これを脱するには待つしかありません。 意思が弱ければそこで挫折、強い意志があれば脱せられます。
*小蓮華山への稜線、先には白馬岳
最後に生臭い話になりますが お金です。 山登りのコスト、なぜかほとんどの方は触れません。
百名山登るには HOW MUCH !? 禁断のテーマ。 実は、昨年の山渓8月号に掲載されてました。
首都圏在住のサラリーマンで、連休・有給休暇をフル活用して2年(のべ129日)で完登するというややタイトなシュミレーションで・・・
242万円なり、 とのことです。 一座約2万4千円! これが安いか高いか?
この金額は首都圏在住の方のシュミレーションであり、 日本アルプスや甲信越から遠く離れた地域にお住まいの方のトータルコストはもっと上がると思われます。 5百万くらい費やしたという話も聞きます。
また、登山ツアーだったら、費用は大きく膨らむでしょう。 北海道の幌尻岳のように、渡渉やクマ出没コースの場合はガイドさんがいるツアー参加が安心かもしれません。 それ以外は自分で登る方が安くすませることが出来るかもしれません。
*利尻山
私は7年でHow much or less? わかりません。(笑) ホント! 山の家計簿をつけておくべきなんでしょうが・・
記録につけていません。 北海道は3回、九州2回、西日本3回と極めて効率よく攻略できた反面、東北は7回以上、関東 上信越、日本アルプスの山々はカメの如く一座一座登ったのがほとんどですので山行についやしたのべ日数はたぶん175日くらいでしょう。 高速道路は使いましたがETC割引は出来るだけ活用、航空券は事前割・直前割やマイレージの特典航空券(タダ券)を使いました。
たぶん、山渓の試算額(上記)くらいはいってるかもしれません。 さらに車のメンテと償却を含めたら・・・ それ以外に山の道具やウエアの購入コストも馬鹿になりません。 普段クルマを使わない方であれば、その分交通費にかけたらそれほどの差はないかもしれません。
例えば10年間で百名山をすべて登るとした場合、百名山制覇のコストが300万円なら年間30万円です。 サラリーマンの平均のお小遣いは月約4万円らしいです。 これに12か月を掛けると年間のお小遣いの総額は約48万円。 そのうちの30万円は厳しいですね。
お金がないなら時間と工夫でカバーするしかない。 山小屋泊はやめてテント泊、 移動の宿は車中泊・キャンプ泊にする。 ETC割引を使う あるいは一般道を走行する。 (テント泊なら装備が重くなるし、一般道なら時間がかかるという代償がある。) 航空券は事前割引やLCLを使う、 鉄道は周遊切符にする。 レンタカーせずフェリーでマイカーを持ち込む。 その気があれば、工夫できます。 北海道や九州をまとめて登られている方に多く見受けられます。 山仲間とマイカーやレンタカーで割カンにすれば負担が減ります。
プライスレス。 山旅で得た体験と感動はお金に代えがたいものがあります。
いろいろ工夫してコストを削減するにしても、お金は必要です。 そのためには働いてお金を稼ぐしかないし、蓄えた財がある方なら取り崩すしかありません。 これも現実です。
*鎖場の石鎚山から最高峰・天狗岳へ
山歩きを出来る健康と思考力、 体力・脚力・登攀力、 時間、 お金・・ どれも必要なのかもしれませんが ・・・・
すべて備わったかたは多くはおられないと思います。 私もおなじです。
脚力、体力に自信がないなら時間をかけて登ればいいし、途中山小屋に泊まればいい。 出来るだけショートカットルートを使えばいい。
下賤かもしれないが、時間がないならお金で時間を買うしかない。飛行機、新幹線、タクシーを使うしかありません。
自分で一生懸命汗水流して稼いだお金なら好きなことに使いましょう。 拝金主義、バブル亡者は大嫌いですが。。。
山登りはお金で買えないこと、モノがある。 お金をばら撒いた感動は価値がない。 お金は助けてはくれるかもしれないが「百名山制覇」は買えない! お金ですべては買えない。(と私は思う)
山は自然のままだが、いまはひとの立ちいる山は俗界かもしれない。 それに象徴されるのが百名山かも。
チョット下世話になりますが、これも現実です。 それぞれの置かれた立場でどうバランスをとるかでしょう。
*花の早池峰山にもこんな垂直の鎖場が
やっぱり最後は登りたい、登り切る、やり遂げる意思でしょう。 願えばかなう!
百名山になるのか、百迷山になるか?
日本百名山ナンセンスという方もいるでしょう。(笑) 山にはいろんな多様性と楽しみがあります。
山登りにそれぞれ異なる価値を見出すのは当然だと思います。
山登りに限らず、自分のやりたいこと、取り組むべきことがあればトライしてみましょう。 ダメでもともと!
日常に没し時に流れにまかせるのも人生かもしれないが、 誰しも心の奥底に秘めたものがあると思います。
ひょっとしたら、 もしかしたら ・・・ そんなきっかけ、モチベーションがあれば、何事においても
そういった夢、願望、目標に向かってトライ、チャレンジし、前に進んでいくこと。 一度しかない人生です。
私の百名山へのチャレンジを支えたのは一歩一歩前へ進む、自分の足跡を刻んでおきたいという気持ちだと思います。 そして、一座一座登るたびにブログに刻んでおくことと皆様のご支援が百名山へのチャレンジをあと押ししてくれました。 あらためて、今までのご支援ありがとうございます。 そしてご一緒していただいた山仲間に感謝。 サポートなしには遂げられなかったかもしれません。 また、山中で出会った方々、お世話になった皆様にも感謝したいと思います。
あれから1年、 百名山への挑戦は終わりしばらくは空疎感に覆われました。 いわゆる百名山ロスです。 目的を完遂した時の喜びは大きいが、その時点で終わるのである。
「二百名山」、今まで30座登りましたが、「百名山」で感じたものがない。 なぜ二百を登るんだという反問が湧いてきました。 百を超える素晴らしい山がいくつかありそうですが、大半の山は百名山を越えられない。 「なんで登るのか?」という反問が湧いてくるような山に登る意味があるのだろうか。 時間が残された40代、50代だったらピークハントのスタンプラリーも否定しないが・・・ 時間がある、余暇があるというで*百名山を歩くことは私はしない。
”百の頂に百の喜びあり” というのは大嘘。
やっぱり、*百名山は 「二百名山」でなく「百名山」がいい山が多い。 これも本音ですが、*百名山に関わらず「いい山」とは下山して登山口に着いたとき、登ってよかったという気持ちが湧いてくる、ほのぼのとした気持ちで帰宅できる山。 キツイ、タフな山で困憊して下山しても、幾日かたったらまた登ってみたいと思う山ではないでしょうか。 百名山でも、すべてではなく半分くらい。 そんな山は、
利尻山、斜里岳、トムラウシ、幌尻岳、飯豊山、大朝日岳、越後駒、平ヶ岳、皇海山、火打山、空木岳。 北アルプス、南アルプスはどの山もいい。 とくに水晶、黒部五郎、剣、鹿島槍、笠ヶ岳、仙丈、北岳、塩見、悪と赤石、そして聖岳。 西日本では大峰山と宮之浦岳
・・・・・ もう登れない難関の山が多かった。 登れない山ほどまた登りたい。(笑)
*美ヶ原・王ヶ頭下からの北アルプス
改めて、百名山を登って何を感じ、何に感動し、心をゆり動かされたのか。 その原点に立って振り返ってみました。 そうしたらなんとなく、おぼろげながら見えてきました。 残された時間で百名山の先にあるもの、これからやりたいことが・・・