山は甘くない。いきあたりばったりでなんとかなるという気持ちで登ってはいけない。そんなことを感じながら撤退しました。
- 山歩き
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前日の黒姫山に続き、不動沢を登り一不動から九頭龍山・戸隠山ピストンを目論みました。 登山口は戸隠キャンプ場(上の写真)です。
TV番組で見たが難関はナイフリッジの蟻の戸わたりと剣の刃わたり。 この二つの難所をクリアして戸隠山頂に抜ける技量と度胸は私にはない。
ならば難所の二ヶ所は通らない。 逆方向の一不動からのピストンにすることにした。
夜半に降った雨が気になる。
牧場内を通過するが、早速牛が通せんぼ! 初っ端から難関。(笑) 左から迂回します。
一不動への入口だが高妻山への登山口でもある。 牧場の出入り口には疫病防止の消毒薬がまいてあります。
何か所か渡渉しますが、沢の涼しさはまったくなし。 前回この不動沢を登った時はかなり水量もあり涼感があったという記憶。 この日もサウナ風呂状態。
不思議な巡り合わせで、この沢を登ったのは5年前の2012年7月15日だった。
この日も7月15日、5年ぶりの不動沢。
最近の異常気象のせいか、倒木もおおく、沢はかなり荒れているなと思いました。高妻山を登ったほとんどの方が最近は弥勒尾根を下るというのは頷けます。
このあたりから急登が続きます。
滑滝のクサリ場。 水量もなく右からそれほど苦も無くクリアできる。
もう少し登ると帯岩のクサリ場。横ばいのクサリの高さが腰のあたりで中途半端。
この垂直のクサリ場、高さはないがしっかりとつま先を置く場所がほとんどない。
仕方なく、クサリに体重をあずけて必死に登るしかない。 こんなところあったのかな? 冷や汗をかくところだが、サウナのように暑くバテバテ。
氷清水(水場)でクールダウンし、再び急登を登る。標高が上がるが涼感はまったくない。
8時半過ぎに一不動へ到着。 避難小屋横のベンチで休憩するが、蚊がいっぱい。 前回五地蔵でブヨにやられた経験もあり今回は防虫ネットとハッカで防御。 稜線に上がっても風はない。
ここまでコースタイム2:15だがなんとか2時間で登り切った。でも疲労困憊。 蒸し暑い。 標高2千M程度の北信の山はやっぱり7~8月は快適ではない。 「もうここで引き返そうかな」という弱気の虫がもたげてきた・・・
なぜか、この不動沢は相性がよくない。
しばらく休んで尾根を南へ登る。 足どりも重くバランスが悪い。
九頭龍山に向かって歩くがガスって東側が切れ込んでいる感じ。
途中で戸隠奥社から時計回りで登ってきた方と稜線で出会う。 ヘルメットを着けた壮年の登山者。 「ガスった蟻の戸わたり、刃わたりは怖かった。」さらに尾根の状況を聞いてみたが、「戸隠山からも東側に切れ込み気が抜けなかった。」とのこと。
消耗した身には余力もなく休み休み、45分くらい登ったところで休憩。
暑さで体力消耗に加えてなぜか足運びのバランスが悪い。 今回のザックは新しいオスプレイのStratos26、いままでのザックと異なり背面に汗抜きのスペースがあるのはいいが背中へのピッタシ感が弱い。ザックの重心が幾分か背中より離れている?新しいザックに慣れる必要がある。 前日の黒姫山と違っているのは体を前かがみ姿勢で登っていくところが多い。
歩き自体は年々老獪さでカバーしている(笑)と思うが、岩場を駆け上がっていく足さばきとスピード、保持力とバランス感覚は落ちている。体軸をしっかり鍛えなおさなければと思ってはいるが、トレーニングもせずに行き当たりばったりの山登りが実体である。
私の技量ではこの山は行き当たりばったり何とかなるという山ではないのだ。いろんな山を登り場数だけは増えたが、どこかに慢心あり。百名山を踏破したことでの弛みがある。改めて自戒しよう。 先ほど出会った登山者のことばも甦り気が萎えた。 甘くはない、躓いたらアウトだ。 怖気づいたらやめた方がいい。中途半端な気持ちで登ってはいけない。
ヘルメットも車のなか置いてきてしまった、今回はギブアップ 撤退だ。
一不動に戻って再び休憩し、キャンプ場へ下る。 いずれ出直しです。
キャンプ場入口にある「岳」で戸隠そばを食べる。 5年ぶりだ。
もうそんな歳月がたったのか。 光陰矢の如し、そして諸行無常である。
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巷も騒がしい。盛者必衰 驕れるものは久しからず、いづれ誰もが思い知る世の無常。これが世の中の宿命である。
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自宅に戻ってから「蟻の戸渡り」をYoutubeで見た。クサリが途絶えたところが多い。多くの方はナイフリッジを馬乗りしながら通過。やっぱし、立歩きでの通過はリスク。でもリッジを馬乗りよりも下のトラバースのクサリが続いていたら、横ばいでいった方が通過しやすいように思えますが、ここを通過された方の意見を聞いてみたいです。無理してリッジを通過することはないと思います。
戸隠山のピークハントだけなら蟻の戸渡りを回避するのはリスクがなく正解であるが、再検討です。 戸隠山~九頭龍山の登山道も細くて東側が切れているところが多いようだが、慎重にゆっくりいけばクリアできそうである。 今年は登らないだろうが、いつかはまた、再チャレンジ。 ヘルメット着用し、ザックはトレラン用の身軽な軽量ザックで体が振られないようにすること。 ストックは邪魔、持っていかない。(余分な荷物装備は一不動小屋にデポしておく。) 雨や雨上がりの後は絶対登らない。 暑くも寒くもない天気、できれば若干ガスっていた方が高所感は緩和される? リスクはミニマイズする。 体調を整えて、無理しない、急がないことが重要です。
・・・・・と皮算用。 でも、一番必要なのは苦手なトレーニングである。
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