アレッチ氷河トレイル [アルプスの旅2019]
今回もうひとつのハイライト、アレッチ氷河トレイル。
ヨーロッパアルプス最大を誇るアレッチ氷河は長さ23KM、幅が平均1.5KM、そして深さは900M。世界自然遺産にも登録されています。氷河沿いを歩くトレイルには高山植物も咲き、源流のユンフラウから下る白い竜のような大氷河には圧倒されるばかりでした。
* * * * * * * * * * 7月16日
朝起きてみると、前日とは様変わりの晴天。北にはローヌアルプスのシルエット。この日は期待が持てそうです。
ユンフラウ展望台まで上られた方はご存じのアレッチ氷河、ユンフラウを源流として南へ続くヨーロッパアルプス最大の氷河。その氷河の南にある下流域、アレッチエリアと呼ばれますが、氷河沿いのトレッキングコースを歩いてみました。「ヨーロッパアルプスでベストトレッキングコース」とも云われています。
Burchenから車で1時間、ベッテンBettenの駅駐車場に停めます。ベッテン駅でアレッチ氷河エリアの交通機関を一日乗り放題出来るパスを購入。上記の地図のように、アレッチエリアを周回してフィーシュFieschから鉄道で戻ってきますが、このBetten駅はMGB(マッターホルン・ゴッタルド鉄道)の駅が構内に併設されていて便利です。MGBは氷河急行の路線でもあります。
アレッチ氷河トレイルの登山口ベットマーアルプBettmeralpへは中間駅経由と直行便の2ルートありますが、8:20始発の直行便に乗車。
残雪のヴァリスの山並みが一望しながら、10分ほどでBettmeralp駅へ到着。
ここから15分ほどBettmeralpの村をベットマーホルンBettmeralp Bergstation駅へ歩きます。
Bettmeralp(標高1,950M )はホテルやシャレーがあり、ここからいくつもトレッキングコースがある山岳リゾートです。
Bergstation-Bettmeralp ゴンドラ駅。
ゴンドラからはBettmeralpの集落、Bettmersee(湖)、谷を挟んでミシャベルアルプスが望めます。
標高を上げるにつれてガスってきました。
Bergstataion-Bettmerhorn駅(標高2,647M)からまずは展望台に向かいます。目の前はBettmerhornですが、ピークハンティングではなく氷河トレッキングが目的ですのでパス。(時間に余裕があれば登りたいですが・・)
途中、ガスに覆われた雪渓あり。ちょっと気がかりでしたが、
展望台へ着くと、青空が見えてきました。
道標にはコースタイムが記されてました。 Roti Chumme(中間点)まで50分、Marjeraまで1:50、Fiescheralpまで3:10 このコースタイムはキツい感じです。
目に飛び込む景色は圧巻。渓谷に沿って氷河が大きくカーブして流出している様は壮観です。
コンデジTG-4の広角側目いっぱいで撮りますが氷河全体は到底入りません。
3~4千メートル級の山々に挟まれたアレッチ氷河。この大自然の景観は圧巻です。
真ん中の尖った山がアレッチホルンAletschhorn 標高4,193Mです。ユンフラウ、アイガー、メンヒよりも標高が高い主峰です。
ここから氷河沿いへ北に下るルートは閉鎖されていましたので、西に下って氷河沿いに北上するルートを辿ります。9:25
氷河は更に下流域へ、南端のアレッチの森からローヌの谷へと流れていきます。別の氷河 Beich Gletscher も西から迫出しています。
氷河沿いのトレイル分岐。Bettmerhorn以外にも、南の下流域にモースフルーMoosfluhやホッフフルーHohfluhといったゴンドラで上がれる展望地があります。我々は氷河沿いに北上します。
氷河をよく見るとクレバスがいっぱいで氷河の端は氷の樹林帯のように見えます。年間約180~200メートルのスピードで移動していますが、地球温暖化で氷河の末端が後退しつつあるとのこと。
山からの氷河や雪渓から流れ出る水に育まれて、花々が多く見られます。
上々の天気で、風もなく程々の気温でトレッキングには快適。氷河沿いで冷え込むかもしれないということでダウンを持ってきましたが不要でした。
ここも壮大な景観と花々でなかなか前に進みません。トレイルの北端までまだ半分も満たない位置のようです。
頭上をヒューという音を立てて岩石が飛んでいきました。幸い山側が切り取られた庇だったんで難を免れました。この上部はBettmerhorn展望台からの道(通行禁止)がありますが、ほどんどガレ場です。かなりの大きさの岩だったようで、ヘルメットを着けていても当たればアウトです。融雪での自然落石か人為的に誘発させたのかはわかりません。でも落石危険注意の標識はなかった。
雪渓もところどころあります。ゆっくり歩いているんで後続のハイカーに先を譲ります。
氷河の先は左へカーブ、Koncordia Platz と云われる大氷原があります。迫出してくる壮大な氷河の流れは圧巻としか云いようがない絶景です。
野生の羊も何匹か見られます。
氷河下流を振り返ってみると、尖った峰。ズームアップしてみると マッターホルンです。その下に写っているのはどうやらモースフルーMoosfluh のロープウェイ駅舎のようです。
落石危険標識。御覧のようにガレ場の斜面で注意を払いながら素早く通過します。
Aletchhorn、標高4,193M とユンフラウ、メンヒ、アイガーよりも高い主峰が正面に見えます。
11:00 Roti Chumme 標高2,369M。Bettmerhorn展望台からの合流ポイント。コースタイムは50分ですが、1時間半かかってます。ここの道標は逆方向ですがBettmerhorn駅まで1:30となっています。
さらに北上するとコンコルディア氷原の先にメンヒとアイガーが見えてきました。
脚もとの氷河を見下ろすと、大きなクレバスと下を流れるエメラルドブルーの水。
思ったより時間がかかります。メルジェレン湖まで40分の道標。
ほぼ水平道、眺めも抜群で疲れも感じさせないトレッキングコースです。
レングフルー方面を眺めるとミシャベルアルプス。前日が☂でなければ、訪れる予定でした。右にあるマッターホルンの先端は雲に覆われてNGでカット。
氷河との位置が近づいてきました。もうすぐトレイルの北端にも近くなってきました。
マッターホルンにかかった雲が一瞬切れたのでシャッターを切りました。間もなく進む方向が変わって死角に入るのでマッターホルンを撮るチャンスはこれが最後かも。
もうトレイルの北端は近い。
トレイルの北端です。渓谷の先、氷河の源流域にはアイガー、メンヒが見えます。ユンフラウは見えませんが・・
ユンフラウヨッホが視界に入ったんでズームアップしてみました。ユンフラウヨッホからアレッチ氷河の源流~下流へ下る様を眺めることが出来ますが、アレッチエリア下流域沿いから見たほうが壮大で悠々と流れる姿をたっぷりと楽しめスケールの大きさを感じることが出来るでしょう。
氷河を見下ろすと、氷河トレッキングツアーのようです。
トレイル北端の道標。11:50なのでここまでなんと2時間25分もかかっています。コースタイムは1:30ー0:15=1:15と、ここのコースタイムは歩きっぱなしでこれを基準にしたらキツいです。見どころが多いこのトレイルは、1.5倍くらいのマージンを取っておいた方が賢明かもしれません。因みに、ここからゴールの Fiescheralp までのコースタイムは2:30となっています。
曜日ごとにさまざまなツアーがあるようです。この日火曜日はアレッチ氷河の周遊ツアー、アレッチ氷河からコンコルディア雪原までの一泊ツアーあり。そして場所は変わりますがブライトホルンのツアー。先ほど氷河の上を歩いていた皆さんは雪原ツアーだったようです。
ここからトレイルは氷河沿いを離れて、エギッシュホルンの麓を巻くように東へコースを変えてメルジェレン湖に向かいます。
ちょっと前にふれました氷河が後退しているという事実ですが・・
素晴らしい世界遺産でもあるアレッチ氷河、24KM に及ぶ氷河は地球温暖化の進行で今世紀末までに消滅するという見方もあります。ヨーロッパ最大の氷河が融けてしまうということは、アルプスの景観が全く変わってしますということです。前週に訪れたシャモニーのメールドグラスも氷河が年々後退しているようです。氷河の融雪で高山植物も一杯咲いていますが、やがては水も枯れて湖もなくなりただのガレ場の殺風景な渓谷に変貌してしまうかもしれません。アマゾンでは広大な範囲に及ぶ森林火災、カルフォルニアも同様に多発。とても憂慮されることですが、温暖化に歯止めをかけなければ荒涼たる世界に向かいます。なんとか歯止めをかけることは出来ないのでしょうか。
ちょっと長くなってしまったんで、本日はここで切りあげさせていただきます。一気に書き上げようと思ったんですが・・どうかご容赦下さい。
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雪渓での落石は無音ですから、恐いですね。
氷河だと有音なのかな?ちなみに、この辺りはテントで泊まれるテント場なんかはあるのでしょうか?^^
by のら人 (2019-09-01 07:35)
のら人さん、ビューっていう凄い風切り音がしてぞっとしました。自然落石か人為的な落石はわかりませんが、とにかく怖いです。ヤマにはつきものなので気を付けたいですね。世界遺産保護地区なんで山間部のテン泊は禁止のようです。麓のキャンプ場のみのようですね。
by Jetstream (2019-09-01 09:32)
氷河が温暖化で後退しているのは大問題ですね!
温暖化をなんとかしないといけないですね。
by ma2ma2 (2019-09-01 16:31)
氷河を間近で見ながら歩けるんですね。
クレバスだらけの氷河を見ると流れる様子も何となく想像できます。
それにしても温暖化で今世紀末には消滅してしまうというのはショックです。
何とか食い止めないといけませんね。
ピンクの花はサクラソウ、黄色はキンポウゲに似てますね。
by tochimochi (2019-09-01 19:13)
この景観は写真でも素晴らしいのに、実際目で見たのとは雲泥の違いがあるでしょうね。何時かは温暖化で氷河無くなると思うと悲しいですが、何とか防げられたら
良いですね。
by g_g (2019-09-01 19:15)
おはようございます^^
世界的に氷河は後退しているようですね。カナダでもアイスランドでも同じことを聞きました。人が住み続ける限り、地球温暖化は避けられないのか。はたまた、地球が氷河期に突入することもある?かな^^
しかし、素晴らしい景色と一緒に歩く、良いですね~ 堪能させていただきました^^
by mimimomo (2019-09-02 08:01)
素晴らしい写真の連続にため息またため息、Jetさんの分かり易い説明に感謝感謝の連続です。氷河を3歩ほど歩いて天辺の展望台ではメンヒとユングフロウを間違って眺めていた・・・。ホテルの階段で電気が勝手に消えるのにビックリしたことを思い出しました、省エネ先進国なのでしょうかね~
by OJJ (2019-09-02 09:40)
氷河を目にできるなんて最高ですね。なんと良い体験をされているのでしょう。おすそ分けを頂いているだけで感激です。
by JUNKO (2019-09-02 23:08)
大絶景を見ながらのんびりハイキング、
すたすた歩くなんてもったいないですね。
ずっと雪渓を歩いていくコースもあるんですね。
by nousagi (2019-09-03 16:45)
氷河は圧巻ですね。いい旅してますね。うらやましい。
by 暁烏 英(あけがらす ひで) (2019-09-03 19:53)
ma2ma2 さん、何とかしなければといっても、温暖化が進行する限りは止められないでしょう。人類は崖っぷちに立たないと気がつかない。悪循環に入ってます。
tochimochi さん、氷河沿いにつくられたトレイル、大自然の息吹が感じられるトレッキングコースです。とにかく巨大な氷河に圧倒されます。
シャモニーモンブランでも氷河が後退、有名なカナダのコロンビアアイスフィールドでも年々後退。アレッチ氷河がなくなったらスイスの山の上部はガレ場ばかりで無味乾燥、自然遺産は消滅しますね。
by Jetstream (2019-09-03 20:12)
g_g さん、本物は本当にすごいです。動画を撮ってくればよかったですね。人類の消費欲は後戻りできないし、例えば、温暖化→暑い→エアコン→化石燃料消費→温暖化・・という悪循環。生態系にも影響するでしょうね、残念ながら。
mimimomo さん、絶景ともいえる眺めを見ながらのトレッキングは最高です。!(^^)! 仰る通り氷河期に入って人類がいったん消滅すれば、リセットされるでしょうね。それしか温暖化は解消されないかもしれませんね。
by Jetstream (2019-09-03 20:20)
OJJ さん、拝見戴きありがとうございます。グリンデルワルド側からだと逆ですね。(笑) 昔からエコが進んでいたのかな?
JUNKO さん、大自然がつくる景観にはただただ驚きです。こんな感動、出来るだけ多くの方とシェアしたいです。
by Jetstream (2019-09-03 20:27)
nousagiさん、存分に楽しみながら歩くのがいいです。むしろここはコースタイムにビハインドというのはある意味では正解です。!(^^)! トレイルは雪渓も何カ所かあります。氷河トレッキングもありますが、クレバスもあるんでガイドがザイルをつないで歩くツアーもあります。
暁烏 英 さん、自分で好きなように旅をつくる、そんな旅もいいですね。念願のふたつのコースを歩けたとは本当に幸運でした。でも、調べるとまだまだいろんなところがあり、また出かけたいですね。
by Jetstream (2019-09-03 21:02)
またもやため息ばかり・・・(笑)
人の姿が分かると、その広大さが理解できますね〜。
全て巡るにはどれほどの時間が必要なのでしょう。
by achami (2019-09-03 21:23)
achami さん、こんばんは! ため息つかせてスイマセン。(笑)!(^^)! 氷河トレッキングは2日間で、下流側から中央の氷河右にある小屋1泊して往復というコースとユンフラウヨッホから下って小屋1泊してメルジェレン湖までというコースがあるようです。ガイドとザイルをつないで歩く現地ツアーがあるようです。
by Jetstream (2019-09-03 21:47)